III.慢性裂肛に対する外科治療―LSISとSSGの長期成績

裂肛に対する手術は根治性と機能温存を目的とし,LSISは内肛門括約筋レベルの狭窄に対し,SSGは肛門上皮に瘢痕形成が強い高度狭窄例に行う.術後7年以内の症例では治癒遷延:LSIS 5.3%,SSG 8.5%,再発:LSIS 2.4%,SSG 5.2%,incontinence: LSIS 0.5%,SSG 1.6%であった.長期経過後に再発や後障害も懸念されるため,手術後10年以上の経過例に対し手術後の満足度,再発,後障害についてのアンケート調査を行った.1990年~1999年(術後10~20年)に当施設で行ったLSISおよびSSGに対し追跡可能であった103例を対象とした.その結果,手術の満...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 64; no. 10; pp. 887 - 894
Main Authors 左雨, 元樹, 岡田, 大介, 法地, 聡果, 森本, 幸治, 日高, 仁, 小野, 誠吾, 金澤, 周, 山名, 哲郎, 古川, 聡美, 金子, 由紀, 西尾, 梨沙, 高橋, 聡, 岡本, 欣也, 佐原, 力三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2011
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.64.887

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Summary:裂肛に対する手術は根治性と機能温存を目的とし,LSISは内肛門括約筋レベルの狭窄に対し,SSGは肛門上皮に瘢痕形成が強い高度狭窄例に行う.術後7年以内の症例では治癒遷延:LSIS 5.3%,SSG 8.5%,再発:LSIS 2.4%,SSG 5.2%,incontinence: LSIS 0.5%,SSG 1.6%であった.長期経過後に再発や後障害も懸念されるため,手術後10年以上の経過例に対し手術後の満足度,再発,後障害についてのアンケート調査を行った.1990年~1999年(術後10~20年)に当施設で行ったLSISおよびSSGに対し追跡可能であった103例を対象とした.その結果,手術の満足度はLSIS 87%・SSG 93.9%,再発:LSIS 24.1%・SSG 8.2%,incontinence:LSIS 3.7%・SSG 4.1%,またSSGで粘膜脱を疑う症例は2.0%であった.長期経過後,LSIS,SSGともに多くの患者が手術に対して満足しているが,LSISと比較しSSGの根治性は高かった.懸念された長期経過後の後障害の発症は少なく,適切な術式の選択は長期的な患者のQOLを導くため,術式の選択を慎重に行うことが大切である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.64.887