VI.クローン病に対する腹腔鏡下手術の適応と限界

クローン病に対する腹腔鏡下手術は,瘻孔や膿瘍,巨大炎症性腫瘤形成などをともなわない回腸結腸の狭窄病変に対しては良い適応であり,近年の手術器具の改良とともに,今後は単孔式内視鏡手術のように整容性に優れた変法も試みられるようになると思われる.しかしながら,合併症を有する症例や再手術例に対しては腹腔鏡下手術は依然技術的に困難であり,結果として開腹移行率も高くなる.これらcomplexな症例に対してはHALSや小開腹の併用を含めて,柔軟にアプローチを選択する必要がある.なかでもHALSは,(亜)全結腸切除術のように切除範囲が広く,標本サイズが大きい症例には良い適応と考えられる.これら多様な低侵襲アプロ...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 63; no. 10; pp. 888 - 892
Main Authors 中島, 清一, 根津, 理一郎, 長谷川, 順一, 廣田, 昌紀, 水島, 恒和, 竹政, 伊知朗, 池田, 正孝, 山本, 浩文, 関本, 貢嗣, 土岐, 祐一郎, 森, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2010
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Summary:クローン病に対する腹腔鏡下手術は,瘻孔や膿瘍,巨大炎症性腫瘤形成などをともなわない回腸結腸の狭窄病変に対しては良い適応であり,近年の手術器具の改良とともに,今後は単孔式内視鏡手術のように整容性に優れた変法も試みられるようになると思われる.しかしながら,合併症を有する症例や再手術例に対しては腹腔鏡下手術は依然技術的に困難であり,結果として開腹移行率も高くなる.これらcomplexな症例に対してはHALSや小開腹の併用を含めて,柔軟にアプローチを選択する必要がある.なかでもHALSは,(亜)全結腸切除術のように切除範囲が広く,標本サイズが大きい症例には良い適応と考えられる.これら多様な低侵襲アプローチの開腹手術に対する真のアドバンテージについては,今後さらなる検討が必要である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.63.888