末梢静脈栄養による蛋白代謝に関する実験的検討

末梢静脈栄養で、エネルギー投与量が制限された時、蛋白代謝に好影響を及ぼすエネルギー基質の投与比を、糖とアミノ酸の至適投与比に着目し実験的に検討した。ラットに3%アミノ酸と種々のグルコース濃度の輸液を行い、体重変化、累積窒素バランス、血清総蛋白値、アルブミン値、血中尿素窒素値、精巣上体脂肪重量、腓腹筋重量を測定した。また15Nグリシンを持続投与し、尿中15N量を測定後、蛋白代謝回転速度、合成速度、分解速度を算出した。さらに肝組織中のDBP (D site binding protein) mRNA、アルブミンmRNAの発現を比較した。累積窒素バランスは7.5%グルコース投与で正へ転換するのに対し...

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Published in静脈経腸栄養 Vol. 20; no. 4; pp. 4_29 - 4_36
Main Authors 日高, 敏晴, 土師, 誠二, 竹山, 宜典, 大柳, 治正, 山内, 清孝, 國場, 幸史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈経腸栄養学会 2005
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Summary:末梢静脈栄養で、エネルギー投与量が制限された時、蛋白代謝に好影響を及ぼすエネルギー基質の投与比を、糖とアミノ酸の至適投与比に着目し実験的に検討した。ラットに3%アミノ酸と種々のグルコース濃度の輸液を行い、体重変化、累積窒素バランス、血清総蛋白値、アルブミン値、血中尿素窒素値、精巣上体脂肪重量、腓腹筋重量を測定した。また15Nグリシンを持続投与し、尿中15N量を測定後、蛋白代謝回転速度、合成速度、分解速度を算出した。さらに肝組織中のDBP (D site binding protein) mRNA、アルブミンmRNAの発現を比較した。累積窒素バランスは7.5%グルコース投与で正へ転換するのに対し、蛋白合成速度、組織重量は10.0%以上で上昇することから、蛋白合成に好影響を与えるのは10.0%グルコース投与が至適と考えられた。また肝のアルブミン合成の核内転写因子の発現に差を認めず、蛋白合成の主座は肝以外であることが推察された。
ISSN:1344-4980
1881-3623
DOI:10.11244/jjspen.20.4_29