Furlow法における口蓋粘膜の閉鎖判定法
【目的】口蓋形成術においてFurlow法は口蓋に粘膜欠損部を形成しないため,上顎発育の抑制が少ない有用な方法である。しかし合併症として瘻孔が0~43%の頻度で発生すると報告されている。瘻孔発生を予防するためには術中に閉鎖可能かを判断し,緊張の強い口蓋粘膜の閉鎖を避ける事が重要である。我々は口蓋粘膜の直接閉鎖が可能か判定するために,術直前に上顎結節間距離,披裂高,披裂幅を測定し,閉鎖可能な最大披裂幅を算出するための公式を作成したので報告する。 【方法】閉鎖可能な披裂幅の公式を作成するために,当院で施行した単独口蓋裂46例を用いてretrospectiveに検討した。 術中に上顎結節間距離,上顎結...
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Published in | Journal of Japanese Cleft Palate Association Vol. 40; no. 1; pp. 1 - 6 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
2015
Japanese Cleft Palate Association |
Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.40.1 |
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Summary: | 【目的】口蓋形成術においてFurlow法は口蓋に粘膜欠損部を形成しないため,上顎発育の抑制が少ない有用な方法である。しかし合併症として瘻孔が0~43%の頻度で発生すると報告されている。瘻孔発生を予防するためには術中に閉鎖可能かを判断し,緊張の強い口蓋粘膜の閉鎖を避ける事が重要である。我々は口蓋粘膜の直接閉鎖が可能か判定するために,術直前に上顎結節間距離,披裂高,披裂幅を測定し,閉鎖可能な最大披裂幅を算出するための公式を作成したので報告する。 【方法】閉鎖可能な披裂幅の公式を作成するために,当院で施行した単独口蓋裂46例を用いてretrospectiveに検討した。 術中に上顎結節間距離,上顎結節レベルでの披裂幅,上顎結節間のラインから披裂縁まで垂直におろした距離(以下,披裂高)を測定し,上顎結節間距離と披裂高より閉鎖可能な最大披裂幅を求めた。そして,実測披裂幅を用いて補正値を算出し,閉鎖判定の公式とした。 【結果と考察】上顎結節間距離をX,披裂高をY,閉鎖可能な最大披裂幅をZとし, Z = X - {√(X2-4Y2)} + 0.27X と公式を算出した。これにより算出した最大披裂幅Zと実測披裂幅を比較し,Z≧実測披裂幅の場合には披裂の閉鎖が可能であると判定した。公式の補正値の要因には,粘膜の伸展性,曲面をもつ口蓋形態,palatal shelfの凹凸,口蓋の左右差などが考えられた。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.40.1 |