血清ALT低活性症例における遺伝子解析

ALT (alanine aminotransferase) は古くから臨床検査に用いられている典型的な逸脱酵素であり, 肝障害などの指標として用いられている。今回われわれは血清中ALT活性が0U/I (測定限界以下) の症例についてALT遺伝子解析を行った。その結果, 一塩基置換 (2297C→A) があり, 351番目のアミノ酸Pro (CCG) がThr (ACG) に変化しているホモ接合体であることを同定した。この置換は健常者 (n=98) には認められず, RFLP (restriction fragment length polymorphism) 法によって遺伝子多型ではないこと...

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Published inJapanese Journal of Clinical Chemistry Vol. 32; no. 3; pp. 255 - 259
Main Authors 栗原, 正子, 木下, 幸子, 濱崎, 直孝, 浦田, 美秩代, 増本, 道子, 飯田, 廣子, 井上, 須美子, 藤井, 智美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床化学会 2003
Japan Society of Clinical Chemistry
Subjects
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ISSN0370-5633
2187-4077
DOI10.14921/jscc1971b.32.3_255

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Summary:ALT (alanine aminotransferase) は古くから臨床検査に用いられている典型的な逸脱酵素であり, 肝障害などの指標として用いられている。今回われわれは血清中ALT活性が0U/I (測定限界以下) の症例についてALT遺伝子解析を行った。その結果, 一塩基置換 (2297C→A) があり, 351番目のアミノ酸Pro (CCG) がThr (ACG) に変化しているホモ接合体であることを同定した。この置換は健常者 (n=98) には認められず, RFLP (restriction fragment length polymorphism) 法によって遺伝子多型ではないことを確認した。血清中のALT蛋白質の有無をWestern Blot法により検索したところ, 健常者とほぼ同量のALT蛋白質が認められた。これらの結果より, 患者の血清中には活性を有さない機能異常の蛋白質が存在し, それは遺伝子の- 塩基置換に起因していることが示唆された。
ISSN:0370-5633
2187-4077
DOI:10.14921/jscc1971b.32.3_255