汎発性腹膜炎を契機に診断されたクローン病の1例

クローン病における消化管穿孔の頻度はまれであり, 未診断のクローン病患者を術前に診断することは困難である。消化管穿孔により手術を施行しクローン病の診断に至った症例を経験した。症例は50代, 男性, 吐血を主訴に公立昭和病院へ救急搬送された。腹膜刺激症状もあり, 造影CTを施行し, free airと小腸壁の肥厚・狭窄を認め, 炎症性腸疾患による消化管穿孔が疑われ同日開腹手術を行った。回腸に1cmの穿孔を認め周囲の腸管は拡張と狭窄を繰り返し腸管内部は一部潰瘍を形成していた。病変部小腸を50cm切除し吻合した。病理検査では類上皮細胞性肉芽腫を認めクローン病と診断した。わが国のクローン病による消化管...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 319 - 322
Main Authors 山口, 和将, 小島, 直樹, 杉田, 学, 一瀬, 麻紀, 岡田, 保誠, 稲川, 博司, 佐々木, 庸朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.12.2018
Japanese Association for Acute Medicine of Kanto
Subjects
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.39.2_319

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Summary:クローン病における消化管穿孔の頻度はまれであり, 未診断のクローン病患者を術前に診断することは困難である。消化管穿孔により手術を施行しクローン病の診断に至った症例を経験した。症例は50代, 男性, 吐血を主訴に公立昭和病院へ救急搬送された。腹膜刺激症状もあり, 造影CTを施行し, free airと小腸壁の肥厚・狭窄を認め, 炎症性腸疾患による消化管穿孔が疑われ同日開腹手術を行った。回腸に1cmの穿孔を認め周囲の腸管は拡張と狭窄を繰り返し腸管内部は一部潰瘍を形成していた。病変部小腸を50cm切除し吻合した。病理検査では類上皮細胞性肉芽腫を認めクローン病と診断した。わが国のクローン病による消化管穿孔は4%とまれであり, 穿孔で初発した患者は70%と報告されている。本症例も未診断であり術後クローン病の確定診断に至った。近年クローン病が増加しており, 消化管穿孔による汎発性腹膜炎の鑑別診断に本症も念頭に置く必要がある。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.39.2_319