新型コロナウイルス感染症パンデミック下の地域在住高齢者における抑うつと関連要因の変化

地域在住高齢者におけるコロナ禍の抑うつ状態の変化とその関連要因を明らかにすることを目的とした。2020年11月から2022年12月にかけて,大阪府A市シルバー人材センターの登録者を対象に,ベースラインから第4回追跡まで,5回の自記式質問紙調査を実施した。調査内容は基本属性,主観的健康感,JST版活動能力指標(JST),抑うつ,生活状況などであった。抑うつはGeriatric Depression Scale日本語版15項目版を用いて評価し,5点以上を抑うつありとした。5回の調査すべてに回答した170名を解析対象として,ロジスティックモデルを用いて多要因の影響を調整し,抑うつの有無に関するオッズ...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 400 - 408
Main Authors 小西, 円, 白井, みどり, 手塚, 栞菜, 佐々木, 八千代, 益満, 智美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 29.01.2024
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ISSN1343-0025
2423-9828
DOI10.20685/kenkouigaku.32.4_400

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Summary:地域在住高齢者におけるコロナ禍の抑うつ状態の変化とその関連要因を明らかにすることを目的とした。2020年11月から2022年12月にかけて,大阪府A市シルバー人材センターの登録者を対象に,ベースラインから第4回追跡まで,5回の自記式質問紙調査を実施した。調査内容は基本属性,主観的健康感,JST版活動能力指標(JST),抑うつ,生活状況などであった。抑うつはGeriatric Depression Scale日本語版15項目版を用いて評価し,5点以上を抑うつありとした。5回の調査すべてに回答した170名を解析対象として,ロジスティックモデルを用いて多要因の影響を調整し,抑うつの有無に関するオッズ比(OR)を算出した。5回の調査で抑うつを有していたものの割合は,27.1%〜32.9%であった。4回の調査で抑うつに関連していたのは経済状況の自覚とJSTであった。経済状況が心配なものは,抑うつに対するORが上昇しており(OR=2.18-4.47),JST高値ではORが低下していた(OR=0.12-0.37)。また,コロナによる生活の変化は,ベースライン調査と第4回追跡調査で確認しており,ベースライン調査では外出頻度減少の自覚(OR=2.48),外出意欲減少(OR=4.65)が抑うつに対するORが高かった。第4回追跡調査では,人との交流方法の変化(OR=3.38),生活の中で困っていることがある(OR=5.99)が抑うつに対するORが高く,仕事があるもの(OR=0.22)は抑うつに対するORが低かった。コロナ禍の抑うつは,その時その時で関連する要因が変化する可能性があり,社会的状況や個人の状況に合わせた支援が必要である。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.32.4_400