背側からの神経磁界測定による腕神経叢の神経機能評価

背景:生体磁場計測装置における腕神経叢を対象とした測定は伏臥位にて行われている。測定体位による被験者への負担が大きく、姿勢保持が困難な場合がある。また、伏臥位においては頸部脊髄誘発磁場の計測は困難であるため、腕神経叢部と頚部の間でデータの連続性が失われてしまうという問題があった。我々は、仰臥位での腕神経叢から頚部の神経活動の可視化・評価を試みた。方法:対象は健常者3名である。132ch SQUID(超伝導量子干渉素子)磁気センサシステム上に被験者を仰臥させ、肘部にて正中神経を最大上刺激し、頚部周辺の神経誘発磁場を体表より測定した。測定したデータに対してアーチファクト除去を行った後、腕神経叢の解...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Proc; pp. 740 - 742
Main Authors 石田, 洸樹, 大川, 淳, 橋本, 淳, 渡部, 泰士, 川端, 茂徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.740

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Summary:背景:生体磁場計測装置における腕神経叢を対象とした測定は伏臥位にて行われている。測定体位による被験者への負担が大きく、姿勢保持が困難な場合がある。また、伏臥位においては頸部脊髄誘発磁場の計測は困難であるため、腕神経叢部と頚部の間でデータの連続性が失われてしまうという問題があった。我々は、仰臥位での腕神経叢から頚部の神経活動の可視化・評価を試みた。方法:対象は健常者3名である。132ch SQUID(超伝導量子干渉素子)磁気センサシステム上に被験者を仰臥させ、肘部にて正中神経を最大上刺激し、頚部周辺の神経誘発磁場を体表より測定した。測定したデータに対してアーチファクト除去を行った後、腕神経叢の解剖学的位置関係を反映した形状に計算領域を設定したうえで、空間フィルター法によって神経活動電流を計算し、可視化した。神経活動の伝導路に沿って仮想電極を設定し、電流波形を算出した。結果:全例において、腕神経叢を伝導して椎間孔に流入し、脊柱管内を上行する神経活動電流の可視化に成功した。算出された電流波形においても、近位に設置された仮想電極で得られた波形ほど位相が遅れている様子が確認された。これは神経生理学的に妥当な結果である。考察:仰臥位での神経磁界計測により、腕神経叢と頚部の神経活動を一貫して評価することが可能であった。本手法は、より被験者の負担を少なく腕神経叢と頸部脊髄の機能評価に応用できる可能性が高い。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.740