要支援高齢者の聴力と認知機能の関連に関するコホート研究

軽度認知障害(MCI)のない要支援高齢者を対象に,ベースラインの聴力と1年後の認知機能低下との関連を前向きに検討した。データ収集はベースラインと1年後に実施した。調査内容は純音聴力検査,認知機能検査,自記式質問紙調査とした。聴力は,良く聞こえる側の聴力(良聴耳聴力)を40 dB以下(健聴・軽度難聴)と41 dB以上(中重度難聴)に分類した。認知機能低下は1年後の認知機能検査の得点がベースラインより1点以上低下とし,MCIは認知機能検査の基準に基づいて判断した。認知機能低下またはMCI発症を従属変数とし,χ 2検定において聴力と関連(p<0.1)を示した変数を説明変数とするロジスティック回帰分析...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 230 - 234
Main Authors 野田, さおり, 白井, みどり, 佐々木, 八千代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 25.07.2022
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ISSN1343-0025
2423-9828
DOI10.20685/kenkouigaku.31.2_230

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Summary:軽度認知障害(MCI)のない要支援高齢者を対象に,ベースラインの聴力と1年後の認知機能低下との関連を前向きに検討した。データ収集はベースラインと1年後に実施した。調査内容は純音聴力検査,認知機能検査,自記式質問紙調査とした。聴力は,良く聞こえる側の聴力(良聴耳聴力)を40 dB以下(健聴・軽度難聴)と41 dB以上(中重度難聴)に分類した。認知機能低下は1年後の認知機能検査の得点がベースラインより1点以上低下とし,MCIは認知機能検査の基準に基づいて判断した。認知機能低下またはMCI発症を従属変数とし,χ 2検定において聴力と関連(p<0.1)を示した変数を説明変数とするロジスティック回帰分析を行い,聴力の認知機能低下またはMCI発症に関するオッズ比(OR)を算出した。対象者は34名で,ベースラインに健聴・軽度難聴であったものは21人(62%)で,中重度難聴であったものは13人(38%)であった。また,1年後の追跡調査で認知機能低下を認めたものは18人(53%)で,MCIを認めたものは10人(29%)であった。ベースラインの中重度難聴者は,健聴・軽度難聴者と比べて1年後の認知機能低下に関するORが6.67(95%CI:0.92-48.18,p=0.060)で,境界域の有意性を示した。一方,MCI発症との関連は検出されなかった。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.31.2_230