思春期と成人期の知能障害のない自閉スペクトラム症に対するコミュニケーション・スキルの向上を目指した集団精神療法の成果

思春期と成人期の知能障害を認めない自閉スペクトラム症の相当数が,適切な相談機関や就職支援施設に出会えずに二次障害で苦悩している。そこで,泉原病院では平成25年7月より就学や就職等の社会的活動に参加できていない自閉スペクトラム症を対象とし,コミュニケーション・スキルの向上を目指した集団精神療法を週1回,60分,医師と臨床心理士で実施している。参加希望者全員に,参加前のウェクスラー式知能検査を必須で行い,特性に合わせた対応を心掛けている。滑舌トレーニング,なぞなぞ,ジェスチャーゲーム等のアイスブレーキングから始まり,自己紹介,就職面接,表情作りの練習や,相手に謝罪する,褒める,断る,尋ねる等のロー...

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Published in九州神経精神医学 Vol. 60; no. 2; pp. 97 - 106
Main Author 吹田, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州精神神経学会 2014
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ISSN0023-6144
2187-5200
DOI10.11642/kyushuneurop.60.2_97

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Summary:思春期と成人期の知能障害を認めない自閉スペクトラム症の相当数が,適切な相談機関や就職支援施設に出会えずに二次障害で苦悩している。そこで,泉原病院では平成25年7月より就学や就職等の社会的活動に参加できていない自閉スペクトラム症を対象とし,コミュニケーション・スキルの向上を目指した集団精神療法を週1回,60分,医師と臨床心理士で実施している。参加希望者全員に,参加前のウェクスラー式知能検査を必須で行い,特性に合わせた対応を心掛けている。滑舌トレーニング,なぞなぞ,ジェスチャーゲーム等のアイスブレーキングから始まり,自己紹介,就職面接,表情作りの練習や,相手に謝罪する,褒める,断る,尋ねる等のロールプレイを行っている。平成25年7月~平成27年2月で計79回,延320名が参加した。登録者は15~40歳の25名,内男性18名,女性7名だった。コミュニケーション・スキルの向上がみられ,4名がフルタイム就労,3名がパートタイム就労,2名が進学に結びついたため,この取り組みを報告した。
ISSN:0023-6144
2187-5200
DOI:10.11642/kyushuneurop.60.2_97