Withコロナの時代における地域在住高齢者の抑うつの有無とそれに関連する要因

新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)流行禍の高齢者の抑うつの有無とそれに関連する要因を明らかにすることを目的として,大阪府下のA市シルバー人材センターの登録者1803人を対象に,属性,健康状態,生活状況,抑うつの評価手段であるGeriatric Depression Scale日本語15項目版(GDS15)などで構成した無記名自記式質問紙調査を行った。GDS15が5点以上を抑うつありとした。ロジスティックモデルを用いて多要因の影響を調整し,抑うつの有無に関するオッズ比(OR)を算出した。分析対象者は551人で,抑うつありは189人(34.3%),抑うつは362人(65.7%)であった。...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 449 - 458
Main Authors 白井, みどり, 野田, さおり, 佐々木, 八千代, 古田, 栞菜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 31.01.2022
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ISSN1343-0025
2423-9828
DOI10.20685/kenkouigaku.30.4_449

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Summary:新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)流行禍の高齢者の抑うつの有無とそれに関連する要因を明らかにすることを目的として,大阪府下のA市シルバー人材センターの登録者1803人を対象に,属性,健康状態,生活状況,抑うつの評価手段であるGeriatric Depression Scale日本語15項目版(GDS15)などで構成した無記名自記式質問紙調査を行った。GDS15が5点以上を抑うつありとした。ロジスティックモデルを用いて多要因の影響を調整し,抑うつの有無に関するオッズ比(OR)を算出した。分析対象者は551人で,抑うつありは189人(34.3%),抑うつは362人(65.7%)であった。抑うつありに関するORが上昇したものは,経済的心配あり(OR=3.84),自己健康感が不良である(OR=4.12),ロコモティブシンドロームあり(OR=2.25),社会的孤立あり(OR=3.11),新型コロナ流行前に比べて外出頻度の減少(OR=1.85)や仕事の頻度の減少(OR=1.92)を自覚,新型コロナに対する不安の程度(0-10点)が高い(8.40点以上;OR=1.98)であった。一方,抑うつに対するORが低下していたものは,年齢が71-74歳(OR=0.54),睡眠時間が長い(7時間以上8時間未満;OR=0.44,8時間以上;OR=0.37),JST版活動能力指標が高い(10-12点;OR=0.48,13点以上;OR=0.36)であった。新型コロナ流行禍における抑うつには,新型コロナ流行による外出や仕事の頻度減少の自覚と不安が関連していた。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.30.4_449