小児感染症における抗菌薬の適正使用を再考する

近年耐性菌が増加しているが,抗菌薬の開発は進まず世界的に深刻な問題となっている。日本政府は,WHOの要請を受けて薬剤耐性対策アクションプランを閣議決定した。2020年までに抗菌薬の使用を1/3削減する目標を立てている。今後更なる抗菌薬の適性使用が求められる。小児感染症に対する適切な抗菌薬の使用は,適切な病型診断と原因微生物の推定,原因細菌の薬剤感受性動向の把握,薬物動態(PK)と薬力学(PD)の理解,抗菌薬のミキシング,標準的な治療期間を遵守,耐性菌リスクを考慮し不必要な抗菌薬を投与しないなど基本的な事項であるが,数多くて複雑である。小児感染症専門医でもアップデートはなかなか困難である。したが...

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Bibliographic Details
Published inPediatric Otorhinolaryngology Japan Vol. 37; no. 3; pp. 290 - 294
Main Author 尾内, 一信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2016
Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngology
Subjects
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.37.290

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Summary:近年耐性菌が増加しているが,抗菌薬の開発は進まず世界的に深刻な問題となっている。日本政府は,WHOの要請を受けて薬剤耐性対策アクションプランを閣議決定した。2020年までに抗菌薬の使用を1/3削減する目標を立てている。今後更なる抗菌薬の適性使用が求められる。小児感染症に対する適切な抗菌薬の使用は,適切な病型診断と原因微生物の推定,原因細菌の薬剤感受性動向の把握,薬物動態(PK)と薬力学(PD)の理解,抗菌薬のミキシング,標準的な治療期間を遵守,耐性菌リスクを考慮し不必要な抗菌薬を投与しないなど基本的な事項であるが,数多くて複雑である。小児感染症専門医でもアップデートはなかなか困難である。したがって,これらの基本的な事項に配慮して作成されたガイドラインを使って治療することがより現実的であり,最適治療の近道である。ガイドラインに従って,耐性菌を増やさないように意識して抗菌薬の適性使用に心掛けたい。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.37.290