シンポジウム9―4 ポリグルタミン病への分子生物学的アプローチ 球脊髄性筋萎縮症に対する分子治療

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性に発症する運動ニューロン疾患であり,アンドロゲン受容体遺伝子(AR)のCAGくりかえし配列の異常延長を原因とするポリグルタミン病である.病因蛋白質である変異ARが運動ニューロン内に蓄積し,転写障害や軸索輸送障害など様々な細胞機能低下をひきおこすという病態仮説が提唱されている.変異ARの蓄積はテストステロンに依存しており,男性ホルモン抑制剤であるリュープロレリン酢酸塩の有効性がSBMA患者を対象とした第II相臨床試験で示されている.今後SBMAの治療法開発を更に進めるためには,多彩な分子生物学的アプローチと,その効果を臨床試験で検証するための方法論を確立する...

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Published in臨床神経学 Vol. 49; no. 11; pp. 917 - 920
Main Authors 祖父江, 元, 勝野, 雅央, 鈴木, 啓介, 田中, 章景, 坂野, 晴彦, 足立, 弘明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2009
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.49.917

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Summary:球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性に発症する運動ニューロン疾患であり,アンドロゲン受容体遺伝子(AR)のCAGくりかえし配列の異常延長を原因とするポリグルタミン病である.病因蛋白質である変異ARが運動ニューロン内に蓄積し,転写障害や軸索輸送障害など様々な細胞機能低下をひきおこすという病態仮説が提唱されている.変異ARの蓄積はテストステロンに依存しており,男性ホルモン抑制剤であるリュープロレリン酢酸塩の有効性がSBMA患者を対象とした第II相臨床試験で示されている.今後SBMAの治療法開発を更に進めるためには,多彩な分子生物学的アプローチと,その効果を臨床試験で検証するための方法論を確立する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.49.917