ゲンタマイシンの直腸吸収に関する研究III
アミノ配糖体抗生剤であるゲンタマイシン (以下, GMと略す) の菌腸吸収について, ピーグル犬を用いて, 前報, 前々報にひきつづき検討した。前報では幼若犬では直腸粘膜の透過性が, 成犬や老齢犬に比べ, かなり大であることが示唆された。そこで今回は, 界面活性剤などの吸収促進剤を用いず, 基剤 (油性) 中にGMのみを含んだ坐剤を作製し, 幼若犬 (生後1~2か月, 3~4か月), 成犬 (生後1~2年), 老齢犬 (生後8~10年) の4つのグループに投与した。GMの投与量は10, 30, 50mg/kg体重の3段階とした。 その結果, 成犬, 老齢犬のグループではいずれの投与量でもGMの...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 32; no. 4; pp. 197 - 201 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1984
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Summary: | アミノ配糖体抗生剤であるゲンタマイシン (以下, GMと略す) の菌腸吸収について, ピーグル犬を用いて, 前報, 前々報にひきつづき検討した。前報では幼若犬では直腸粘膜の透過性が, 成犬や老齢犬に比べ, かなり大であることが示唆された。そこで今回は, 界面活性剤などの吸収促進剤を用いず, 基剤 (油性) 中にGMのみを含んだ坐剤を作製し, 幼若犬 (生後1~2か月, 3~4か月), 成犬 (生後1~2年), 老齢犬 (生後8~10年) の4つのグループに投与した。GMの投与量は10, 30, 50mg/kg体重の3段階とした。 その結果, 成犬, 老齢犬のグループではいずれの投与量でもGMの血清中濃度は低く, 最高血清中濃度 (Cmaxと略す) は, 50mg/kg投与で2.6±0.9μg/ml (成犬), 3.0±1.8μg/ml (老齢犬) であった。これに対し, 幼若犬のグループでは, 1~2か月齢で30mg/kgの投与で8.6±2.8μg/ml, 50mg/kgで13.6±3.8μgl/mlのCmaxを得, 3~4か月齢でも50mg/kgの投与でCmax8.2±3.6μg/mlを得た。さらに幼若犬ではGMの投与量が増すにつれてCmaxが一次直線として増加することが観察された。 これらから, 幼若犬では吸収促進剤を用いなくとも, GMの投与量の増加や基剤の検討などにより有効な血中濃度 (感染菌のMIC以上の血中濃度) を得ることが可能であることを示すと考える。 本文中では, 年齢によるGMの吸収の差について2, 3の考察を加えた。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.32.197 |