全身性エリテマトーデス (SLE) モデルマウスMRL/lprの肺障害におけるIP-10の関与

SLEモデルマウスMRL/Mp-1pr/lpr (MRL/lpr) における肺障害の発症機序について, ケモカイン, 特にIP-10の役割について病理組織学的, 免疫染色法, flow cytometry法を用いて検討した。コントロールとしてFas遺伝子異常がないMRL/Mp-+/+ (MRL/+) , およびC57BL/6 (B6) マウスを用いた.MRL/lprマウスの肺障害は気管周囲・血管周囲への著明な単核球浸潤により特徴づけられ, その病理組織像はMRL/+, B6マウスに比し月齢の増加にしたがい増悪が認められた.RT-PCR法を用いた解析により, IP-10およびその特異的受容体であ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和医学会雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 243 - 253
Main Authors 笠間, 毅, 足立, 満, 松縄, 瑞穂, 依田, 欣之, 井出, 宏嗣, 塩澤, 史隆, 花岡, 亮輔, 小田井, 剛, 矢島, 宣幸, 磯崎, 健男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.04.2004
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.64.243

Cover

More Information
Summary:SLEモデルマウスMRL/Mp-1pr/lpr (MRL/lpr) における肺障害の発症機序について, ケモカイン, 特にIP-10の役割について病理組織学的, 免疫染色法, flow cytometry法を用いて検討した。コントロールとしてFas遺伝子異常がないMRL/Mp-+/+ (MRL/+) , およびC57BL/6 (B6) マウスを用いた.MRL/lprマウスの肺障害は気管周囲・血管周囲への著明な単核球浸潤により特徴づけられ, その病理組織像はMRL/+, B6マウスに比し月齢の増加にしたがい増悪が認められた.RT-PCR法を用いた解析により, IP-10およびその特異的受容体であるCXCR3のmRNA発現はMRL/lprマウスの肺組織では1か月齢から徐々に増加し, 特に4か月齢にて高くなる傾向が認められた.免疫組織化学的染色でIP-10陽性の細胞は形態学的にマクロファージに類似していた.また免疫染色によるCXCR3発現は連続切片にてCD4陽性Tリンパ球に発現していることが示唆された.Flow cytometry法によるMRL/lprマウス肺病変のCXCR3発現陽性細胞の検討ではCD4陽性リンパ球にその増加を認め, 病理学的変化のピークと一致して特に4, 6カ月齢にて増加を認めた.同様にCD8陽性Tリンパ球についてもMRL/lprマウスの方がMRL/+マウスに比べて4, 6ケ月齢においてCXCR3陽性細胞の増加を認めた.本研究でSLEモデルマウスにおける肺障害にはマクロファージ様細胞から産生されるIP-10によりCXCR3を介したTh1細胞の浸潤が重要であることが示唆された.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.64.243