文献から見た発達障害児の支援者が直面する困難の分類

発達障害児の支援者の困難を明らかにすることを目的に,医学中央雑誌およびCiNii Articlesを用いて,「発達障害児」と「困難」をキーワードにして,13文献を収集し,困難に関する記述を類似性と相違性にもとづいて分類した。キーワードに該当する研究は2008年以降に増加しており,対象13文献中12件は10年以内に公表された文献だった。13文献における研究対象者は,保育士,教員,理学療法士,看護師など多岐に及んでいた。発達障害児支援に携わる支援者の困難は,14サブカテゴリ,6カテゴリに分類され,さらに6カテゴリは,【手探りな援助展開のプロセス】,【社会性の獲得に向けた支援】,【普段と違う状況にあ...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 18 - 27
Main Authors 大堀, 美樹, 鈴木, 英子, 髙山, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 28.04.2023
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Summary:発達障害児の支援者の困難を明らかにすることを目的に,医学中央雑誌およびCiNii Articlesを用いて,「発達障害児」と「困難」をキーワードにして,13文献を収集し,困難に関する記述を類似性と相違性にもとづいて分類した。キーワードに該当する研究は2008年以降に増加しており,対象13文献中12件は10年以内に公表された文献だった。13文献における研究対象者は,保育士,教員,理学療法士,看護師など多岐に及んでいた。発達障害児支援に携わる支援者の困難は,14サブカテゴリ,6カテゴリに分類され,さらに6カテゴリは,【手探りな援助展開のプロセス】,【社会性の獲得に向けた支援】,【普段と違う状況にある児への対応】,【家族への対応】の「直接的な支援の難しさ」と,【手探りな連携】,【発展途上な組織体制】の「支援体制の未成熟さ」に関するものに大別された。発達障害児支援が急速に広まるなかで,【手探りな連携】や【発展途上な組織体制】が職種を超えた支援者共通の困難として示されており,支援体制の整備は重要な課題である。発達障害児支援の法整備が進む中,支援者の困難に対するサポートは十分でないと考えられ,支援者の困難緩和の具体策を検討する必要性が示唆された。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.32.1_18