アルツハイマー病早期抽出のためのワンフレーズスクリーニング法の開発と妥当性の検討
目的:「最近の新聞やテレビのニュースでは,どんなことがありましたか?」(以下「最近のニュース」と略す)というワンフレーズの質問で,軽度認知機能障害(mild cognitive impairment:MCI)およびアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)を早期にスクリーニングできるかを検証した.対象および方法:65歳以上の症例で,MCI 116例(MCI群),Functional Assessment Staging(FAST)4,5,6のprobable AD 133例(AD群),正常対照54例(NC群)の合計303例を対象とした.各群に対し,Mini mental st...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 392 - 399 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
2013
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Subjects | |
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Summary: | 目的:「最近の新聞やテレビのニュースでは,どんなことがありましたか?」(以下「最近のニュース」と略す)というワンフレーズの質問で,軽度認知機能障害(mild cognitive impairment:MCI)およびアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)を早期にスクリーニングできるかを検証した.対象および方法:65歳以上の症例で,MCI 116例(MCI群),Functional Assessment Staging(FAST)4,5,6のprobable AD 133例(AD群),正常対照54例(NC群)の合計303例を対象とした.各群に対し,Mini mental state examination(MMSE),Wechsler Memory Scale-Revised(WMS-R)を施行した上で,「最近のニュース」を行った.3名の神経内科専門医が判定者となり,その応答を正解と不正解に分類した.不正解をさらに,(A)不正確,(B)取り繕い,(C)わからないに分類した.結果:「最近のニュース」に対し,正解率はNC群96%,MCI群32%,AD群で20%であった.判定者間での正解・不正解の一致率は100%であった.不正解を「記銘力障害あり」とした場合の感度は79.5%,特異度は94.4%であった.これらの症例にMMSEの3単語遅延再生課題を組み合わせ,正当単語数に応じて0~3点で評価し,2点以下を「記銘力障害あり」とした場合の感度は98.0%となった.不正解の応答分類では,MCI,AD群の約30%に「取り繕い」応答が見られた.結論:記銘力障害の出現に伴い,取り繕いが出現する例があり判定に注意が必要であるが,「最近のニュース」の質問とMMSEの3単語遅延再生課題を組み合わせることにより,高感度に記銘力障害を抽出することが可能であった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.50.392 |