関節拘縮における関節構成体の病理組織学的変化 ラット膝関節長期固定モデルを用いた検討

拘縮時に生じる関節構成体の変化を明らかにするため,ラット膝関節の外固定モデルを用いて,その病理組織学的変化を観察した。9週齢のWistar系雄ラット20匹の右後肢を膝関節最大屈曲位にてギプス固定し,4匹ずつ2,4,8,16,32週固定群をそれぞれ作成し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行い光学顕微鏡下にて観察した。固定2週群から関節周囲脂肪織の萎縮と線維増生を認め,固定期間の延長と共にそれらの変化は進行した。関節軟骨と周囲組織との癒着が固定4週群から観察された。固定16週群以降では,脛骨,大腿骨が線維性に連結する例が見られた。32週に渡る長期ギプス固定により,関節構成体の萎縮,線維化,関節腔の狭...

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Published in理学療法科学 Vol. 22; no. 1; pp. 67 - 75
Main Authors 渡邊, 晶規, 細, 正博, 武村, 啓住, 由久保, 弘明, 松崎, 太郎, 小島, 聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2007
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Summary:拘縮時に生じる関節構成体の変化を明らかにするため,ラット膝関節の外固定モデルを用いて,その病理組織学的変化を観察した。9週齢のWistar系雄ラット20匹の右後肢を膝関節最大屈曲位にてギプス固定し,4匹ずつ2,4,8,16,32週固定群をそれぞれ作成し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行い光学顕微鏡下にて観察した。固定2週群から関節周囲脂肪織の萎縮と線維増生を認め,固定期間の延長と共にそれらの変化は進行した。関節軟骨と周囲組織との癒着が固定4週群から観察された。固定16週群以降では,脛骨,大腿骨が線維性に連結する例が見られた。32週に渡る長期ギプス固定により,関節構成体の萎縮,線維化,関節腔の狭小化が進行し,線維性強直に至った。炎症や軟骨の壊死,消失は観察されなかった。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.22.67