Type2炎症性気道疾患としての好酸球性副鼻腔炎/気管支喘息と遺伝要因

慢性副鼻腔炎(chronic rhino sinusitis; CRS)や気管支喘息は多因子疾患であり,複数の遺伝要因と複数の環境要因の相互作用によって発症すると考えられている。罹患頻度が高く患者数が比較的多い多因子疾患については,多数の症例を対象として網羅的なゲノム解析を行うことによって,病態の解明や創薬の開発に繋がる可能性のある遺伝子が発見されている。近年,UK Biobank,BioBank Japan等の大規模ゲノムコホートが行われ様々な知見が蓄積されてきた。CRSやポリープ(nasal polyp; NP)に関連する遺伝要因についても欧米を中心に報告が増えているが,遺伝要因については...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 65; no. 5; pp. 216 - 221
Main Authors 中島, 大輝, 廣田, 朝光, 玉利, 真由美, 井上, なつき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.10.2022
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.65.5_216

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Summary:慢性副鼻腔炎(chronic rhino sinusitis; CRS)や気管支喘息は多因子疾患であり,複数の遺伝要因と複数の環境要因の相互作用によって発症すると考えられている。罹患頻度が高く患者数が比較的多い多因子疾患については,多数の症例を対象として網羅的なゲノム解析を行うことによって,病態の解明や創薬の開発に繋がる可能性のある遺伝子が発見されている。近年,UK Biobank,BioBank Japan等の大規模ゲノムコホートが行われ様々な知見が蓄積されてきた。CRSやポリープ(nasal polyp; NP)に関連する遺伝要因についても欧米を中心に報告が増えているが,遺伝要因については人種による影響を考慮する必要がある。日本人ないしは東アジア人におけるCRSやNPの遺伝解析は重要であり,日本人における一部の遺伝バリアントの検討についての報告も最近は見られるようになってきた。Type2炎症性疾患としては気管支喘息についての研究が先行しており,ヨーロッパ集団での検討では気管支喘息とCRSやNPの遺伝要因との重複が示されている。このような背景を踏まえ,昨今のゲノム医学の現状を紹介する。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.65.5_216