複数の嚢状冠動脈瘤を伴う冠動脈肺動脈瘻の1手術例
症例は73歳,女性.健診にて心電図異常を指摘され,当院循環器内科を受診された.胸部聴診にて連続性雑音を指摘され,同科にて精査を行った.心臓CTおよび冠動脈造影にて左右冠動脈より起始し肺動脈へと流入する異常血管および複数の嚢状冠動脈瘤形成を認めた.瘤は肺動脈左側に1つ(38mm),肺動脈前面に1つ(20mm),両者の間に1つ(8mm)の計3つ認められた.異常血管の走行が非常に複雑なため経皮的治療では根治困難と判断され,開胸手術施行の方針にて当科へと紹介になった.手術は胸骨正中切開にて心嚢にアプローチした.人工心肺確立後,心拍動下に異常血管を可及的に離し結紮処理した.その後,大動脈を遮断し心停止下...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 5; pp. 651 - 655 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.651 |
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Summary: | 症例は73歳,女性.健診にて心電図異常を指摘され,当院循環器内科を受診された.胸部聴診にて連続性雑音を指摘され,同科にて精査を行った.心臓CTおよび冠動脈造影にて左右冠動脈より起始し肺動脈へと流入する異常血管および複数の嚢状冠動脈瘤形成を認めた.瘤は肺動脈左側に1つ(38mm),肺動脈前面に1つ(20mm),両者の間に1つ(8mm)の計3つ認められた.異常血管の走行が非常に複雑なため経皮的治療では根治困難と判断され,開胸手術施行の方針にて当科へと紹介になった.手術は胸骨正中切開にて心嚢にアプローチした.人工心肺確立後,心拍動下に異常血管を可及的に離し結紮処理した.その後,大動脈を遮断し心停止下に肺動脈および冠動脈瘤を切開し,異常血管の開口部を縫合閉鎖した.さらに遮断解除した後,異常血管全体を注意深く観察し,虚脱が得られていない部位はすべて切開および縫合閉鎖した.術後経過はおおむね良好であった.造影CTにて冠動脈瘤および冠状動脈肺動脈瘻の消失を確認し,術後12日目に独歩退院となった.複数の嚢状冠動脈瘤を伴う冠状動脈肺動脈瘻という比較的稀な症例を経験し良好な結果を得たので,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.651 |