慢性副鼻腔炎急性増悪に起因する眼窩内膿瘍の1例

眼窩内膿瘍は眼窩内に独立した膿汁を認める状態となり, 視器障害を来す疾患である。 今回われわれは慢性副鼻腔炎急性増悪に起因する眼窩内膿瘍の1例を経験したので報告する。  症例は33歳男性。 近医耳鼻咽喉科にて数ヵ月前より慢性副鼻腔炎の診断のもと加療されていたが, 突然右眼瞼腫脹が生じ, 近医眼科で眼窩蜂窩織炎と診断され, 当院眼科へ紹介となった。 眼科的検査では右眼球運動障害, 右視力低下, 右眼圧上昇があり, CT で副鼻腔炎所見と眼窩内の膿瘍形成を認めたため, 同日に当科依頼され, 全身麻酔下に右内視鏡下鼻内副鼻腔手術, 鼻中隔矯正術を施行した。 術中所見にて右眼窩骨膜内より排膿を認め眼窩...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 59; no. 5; pp. 249 - 255
Main Authors 倉島, 彩子, 杉本, 直基, 渡邊, 統星, 山口, 航, 飯田, 誠, 黒田, 健斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2016
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.59.5_249

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Summary:眼窩内膿瘍は眼窩内に独立した膿汁を認める状態となり, 視器障害を来す疾患である。 今回われわれは慢性副鼻腔炎急性増悪に起因する眼窩内膿瘍の1例を経験したので報告する。  症例は33歳男性。 近医耳鼻咽喉科にて数ヵ月前より慢性副鼻腔炎の診断のもと加療されていたが, 突然右眼瞼腫脹が生じ, 近医眼科で眼窩蜂窩織炎と診断され, 当院眼科へ紹介となった。 眼科的検査では右眼球運動障害, 右視力低下, 右眼圧上昇があり, CT で副鼻腔炎所見と眼窩内の膿瘍形成を認めたため, 同日に当科依頼され, 全身麻酔下に右内視鏡下鼻内副鼻腔手術, 鼻中隔矯正術を施行した。 術中所見にて右眼窩骨膜内より排膿を認め眼窩内膿瘍と診断した。 術後は抗菌薬の点滴静注にて視器症状は徐々に改善し, 術後12日目に経過良好にて退院となった。 日々の診療において慢性副鼻腔炎はよく遭遇する疾患であるが, 急性増悪により鼻性眼窩内合併症を生じる可能性がある。 なかでも眼窩内膿瘍は視器に不可逆的な障害を残したり, 海綿静脈洞血栓症, 髄膜炎, 硬膜下膿瘍, 脳膿瘍へ進展し, 死の転帰をとることさえあるため, 迅速かつ適切な治療が必要とされる。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.59.5_249