肋骨に発生した良性腫瘍の経験―線維性骨異形成の診断と治療

第9肋骨に原発した線維性骨異形成 (単骨性) の1例を経験した.症例は30歳の女性, 主訴は側胸部痛であった.近医受診し消炎鎮痛剤の投与にて一時的に軽快するも間もなく再発.胸部X線像上第9肋骨に約3cm大の紡錘状の骨透明像を認め当院紹介受診となった.CT, MRI, 骨シンチグラフィーより肋骨原発の骨腫瘍と診断し, 肋骨部分切除術を施行した.摘出標本の病理学的検索では線維芽細胞様細胞の増生とwoven boneが多数認められ, 線維性骨異形成と診断した.術後3年8ケ月経過したが再発や転移, 術後合併症は認めていない.線維性骨異形成は肋骨腫瘍のうちの約1/3を占め, また大腿骨, 下腿骨に続いて...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 126 - 131
Main Authors 小笠原, 和人, 田中, 博, 稲垣, 克記, 宮岡, 英世, 藤巻, 悦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.02.2004
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Summary:第9肋骨に原発した線維性骨異形成 (単骨性) の1例を経験した.症例は30歳の女性, 主訴は側胸部痛であった.近医受診し消炎鎮痛剤の投与にて一時的に軽快するも間もなく再発.胸部X線像上第9肋骨に約3cm大の紡錘状の骨透明像を認め当院紹介受診となった.CT, MRI, 骨シンチグラフィーより肋骨原発の骨腫瘍と診断し, 肋骨部分切除術を施行した.摘出標本の病理学的検索では線維芽細胞様細胞の増生とwoven boneが多数認められ, 線維性骨異形成と診断した.術後3年8ケ月経過したが再発や転移, 術後合併症は認めていない.線維性骨異形成は肋骨腫瘍のうちの約1/3を占め, また大腿骨, 下腿骨に続いて肋骨に発生し易い.治療は薬物, 放射線療法は無効であり, 病的骨折の危険性が少なく, 臨床症状の軽いものでは経過観察を行うが, 疼痛の強い場合, 病的骨折の危険性が強い場合, 幼少時発生例では観血療法が選択されることが多い.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.64.126