ロールシャッハ・テストの自動診断システム

1.はじめに ロールシャッハ・テストはスイスの精神科医, Rorschach (1921)によって開発されたインクブロット検査で, 投影法による人格検査の代表である. Rorschachの独創はインクのシミを見せて, 被験者がどんな反応をするかに注目せず, どのようにしてインクを知覚するかという形式的側面に焦点を当て, 知覚様式を一定の記号で記述し, それに基づいて解釈を試みた点にある. Rorschachが夭折したため, 彼の記号体系はBeck, Hertz, Klopfer, Piotrowski, Rapaport, Schafer, Exnerなどの研究者に引き継がれ, より複雑な記号...

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Bibliographic Details
Published in行動計量学 Vol. 15; no. 2; pp. 22 - 31
Main Authors 村上, 千恵子, 村上, 宣寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 1988
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ISSN0385-5481
1880-4705
DOI10.2333/jbhmk.15.2_22

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Summary:1.はじめに ロールシャッハ・テストはスイスの精神科医, Rorschach (1921)によって開発されたインクブロット検査で, 投影法による人格検査の代表である. Rorschachの独創はインクのシミを見せて, 被験者がどんな反応をするかに注目せず, どのようにしてインクを知覚するかという形式的側面に焦点を当て, 知覚様式を一定の記号で記述し, それに基づいて解釈を試みた点にある. Rorschachが夭折したため, 彼の記号体系はBeck, Hertz, Klopfer, Piotrowski, Rapaport, Schafer, Exnerなどの研究者に引き継がれ, より複雑な記号体系が考案されたが, 一方, さまざまな流派が混在する結果となった. ただし, 日本では研究者によって多少の違いはあるものの, Klopfer法を基本とする者が多数を占めている. ロールシャッハ・テストは, 曖昧で, 妥当性の低い心理検査と思われがちだが, 正しく実施され, 解釈される場合には質問紙法とは比較にならないほどの効力を発揮する.
ISSN:0385-5481
1880-4705
DOI:10.2333/jbhmk.15.2_22