気管支拡張症の発生病理をめぐつて
編集の方は恐らく気管支疾患全体についての総説を求められたのであつたろう. 初め電話でご依頼があつた時, いつもの癖で感違いしてしまつた. ほんとうにうかつであつた. 下書きを清書しようと思い, 送つてきた原稿用紙を取出した時, 編集目録が出てきて, 唖然とした. しかし期日に二, 三日しかない. 止むなくこの文を送ることとする. 編集の方ははなはだ迷惑と思われるであろう. 読者の方々ははなはだ奇異に思われるであろう. 「気管支拡張症の臨床病理学的所見」気管支拡張症は150年以上前にLaennecにより記載され, 以来きわめて多数の研究があるが, 今日に至るもまだ必ずしも意見の一致をみない. 気...
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Published in | 医療 Vol. 19; no. 7; pp. 507 - 519 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1965
医療同好会 |
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Summary: | 編集の方は恐らく気管支疾患全体についての総説を求められたのであつたろう. 初め電話でご依頼があつた時, いつもの癖で感違いしてしまつた. ほんとうにうかつであつた. 下書きを清書しようと思い, 送つてきた原稿用紙を取出した時, 編集目録が出てきて, 唖然とした. しかし期日に二, 三日しかない. 止むなくこの文を送ることとする. 編集の方ははなはだ迷惑と思われるであろう. 読者の方々ははなはだ奇異に思われるであろう. 「気管支拡張症の臨床病理学的所見」気管支拡張症は150年以上前にLaennecにより記載され, 以来きわめて多数の研究があるが, 今日に至るもまだ必ずしも意見の一致をみない. 気管支拡張症とは種々の大きさの気管支が円筒状またはその他いろいろの形に拡張する場合をいい, 臨床症状のいかんを問わない. 病理学者は一般に不可逆性のものを想定しているが, 臨床家は可逆性の場合をしばしば報告している. Loeschcke1)によつて見出された細小気管支の系統的疾患であるEmphysema bronchiolektatikumもこの中に入れているものもある. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.19.507 |