頭頸部癌患者の免疫とがん免疫療法の展望

頭頸部癌は, 初診時に局所進展や頸部転移をきたしている進行例が多くみられる。 頭頸部進行癌に対し, 手術, 放射線, 抗腫瘍薬を組み合わせた集学的アプローチが進められてきた。 これらの治療には近年多くの進歩がみられ予後の改善にも寄与している。 しかし現在でも局所再発や遠隔転移は予後を悪化させる大きな要因である。 最近, 免疫チェックポイント阻害薬の効果が示され, がん免疫療法が一つの有効な治療手段として認識されている。 免疫チェックポイント阻害薬による長期寛解例もみられ期待も大きいが不応例も多い。 頭頸部癌を含むさまざまながんにおいて抗腫瘍免疫の抑制が指摘されており, がんの誘導する免疫抑制機...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 63; no. 6; pp. 258 - 265
Main Author 櫻井, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.12.2020
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.63.6_258

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Summary:頭頸部癌は, 初診時に局所進展や頸部転移をきたしている進行例が多くみられる。 頭頸部進行癌に対し, 手術, 放射線, 抗腫瘍薬を組み合わせた集学的アプローチが進められてきた。 これらの治療には近年多くの進歩がみられ予後の改善にも寄与している。 しかし現在でも局所再発や遠隔転移は予後を悪化させる大きな要因である。 最近, 免疫チェックポイント阻害薬の効果が示され, がん免疫療法が一つの有効な治療手段として認識されている。 免疫チェックポイント阻害薬による長期寛解例もみられ期待も大きいが不応例も多い。 頭頸部癌を含むさまざまながんにおいて抗腫瘍免疫の抑制が指摘されており, がんの誘導する免疫抑制機構によってがん細胞は免疫の監視から逃れ増殖しやすい環境を構築していることが明らかにされてきた。 頭頸部扁平上皮癌患者においても抗腫瘍免疫は広範に抑制されており予後の悪化に影響している。 免疫チェックポイント阻害薬の不応例も多様な免疫抑制機構により抑制を受けている可能性もある。 頭頸部癌患者の予後の改善に向けて, さらにがん免疫の理解が進み, 新たながん免疫療法の開発や既存治療との併用などさらなる進歩が期待される。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.63.6_258