栄養素含量および機能性を改変した遺伝子組み換え食品の開発の現状と将来の動向およびその安全性評価

世界の人口は昨年(1999年)60億人に達した. 国連「World Population Prospects:1998 Revision」によると, 2028年には80億人, そして2050年には89億人になると予測している. 人口増加の中心は, アフリカやアジアなどの開発途上地域で, 2050年までの人口増, 約29億人のうち約26億人が, 途上地域で増えると見通しており, これに伴う食糧不足が予測される. したがって, 食糧増産を目指す新しい農法が緊急に必要となる. 生産性が高い土地はすでに耕地となっているが, 生産性の向上のためには, さらに耕作法の改善なども必要である. 一方, バイオ...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 53; no. 4; pp. 169 - 174
Main Authors 久保, 和弘, 斎藤, 衛郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本栄養・食糧学会 2000
日本栄養・食糧学会
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ISSN0287-3516
1883-2849
DOI10.4327/jsnfs.53.169

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Summary:世界の人口は昨年(1999年)60億人に達した. 国連「World Population Prospects:1998 Revision」によると, 2028年には80億人, そして2050年には89億人になると予測している. 人口増加の中心は, アフリカやアジアなどの開発途上地域で, 2050年までの人口増, 約29億人のうち約26億人が, 途上地域で増えると見通しており, これに伴う食糧不足が予測される. したがって, 食糧増産を目指す新しい農法が緊急に必要となる. 生産性が高い土地はすでに耕地となっているが, 生産性の向上のためには, さらに耕作法の改善なども必要である. 一方, バイオテクノロジーは, 耕地面積を増やさずに農業生産を倍増させうると試算されている. 現在の遺伝子組み換え作物の多くは害虫や特定の除草剤に強くするために改良されたものであるが, 途上国における栄養状態の改善の必要性や先進国における健康の維持, 増進に対する意識の向上に伴って, 日常の食生活からは摂取しにくいある特定の栄養素の含量を高めた食品や, 機能性を改変した食品が生産される可能性が高い.
ISSN:0287-3516
1883-2849
DOI:10.4327/jsnfs.53.169