めまいを伴う急性感音難聴で発症した脳幹梗塞の1例

前下小脳動脈症候群は多彩な神経症状を示すことで知られており, 難聴, 耳鳴, めまいを初発症状とすることがある。今回我々はめまいを伴う急性感音難聴で発症した脳幹梗塞の1例を経験したので報告する。  症例は65歳女性。主訴は難聴, 耳鳴, めまいであり, 受診時明らかな脳神経症状はなく, 頭部 CT でも異常所見はなかったため, 当初めまいを伴う突発性難聴と診断した。入院後も著明な悪心, 嘔吐症状が続くため, MRI を施行したところ, 橋外側の中小脳脚, 小脳半球に梗塞巣を認め, 前下小脳動脈領域の脳幹梗塞という診断に至った。  日々の診療において, めまいを伴う急性感音難聴の鑑別疾患として前...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 57; no. 1; pp. 28 - 33
Main Authors 森脇, 宏人, 杉本, 直基, 森野, 常太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2014
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
Subjects
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.57.28

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Summary:前下小脳動脈症候群は多彩な神経症状を示すことで知られており, 難聴, 耳鳴, めまいを初発症状とすることがある。今回我々はめまいを伴う急性感音難聴で発症した脳幹梗塞の1例を経験したので報告する。  症例は65歳女性。主訴は難聴, 耳鳴, めまいであり, 受診時明らかな脳神経症状はなく, 頭部 CT でも異常所見はなかったため, 当初めまいを伴う突発性難聴と診断した。入院後も著明な悪心, 嘔吐症状が続くため, MRI を施行したところ, 橋外側の中小脳脚, 小脳半球に梗塞巣を認め, 前下小脳動脈領域の脳幹梗塞という診断に至った。  日々の診療において, めまいを伴う急性感音難聴の鑑別疾患として前下小脳動脈症候群があることを念頭において診察することが大切である。とくに脳血管障害の危険因子を持つ患者に対しては眼振所見や起立・歩行障害, 新たな脳神経症状の出現に十分注意を払い, これら臨床症状から中枢性が疑われる場合は早期にMRI検査を施行する必要があると思われた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.57.28