鼻副鼻腔に原発した小児骨髄肉腫の1例

骨髄肉腫(MS)は,髄外に腫瘤を形成する骨髄性悪性疾患である。腫瘤はあらゆる部位に発生するが,鼻副鼻腔に形成することは比較的稀である。鼻副鼻腔に腫瘤を形成したMSは,臨床症状や内視鏡所見のみでは非悪性疾患(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)と類似しているため,診断が遅れてしまう事がある。診断の遅れは,腫瘤形成に伴う臓器障害のリスクがあるため,早期の診断が重要である。今回我々は,鼻副鼻腔に腫瘤を形成した小児MSの1例を経験した。症例は5歳の男児,近医で鼻副鼻腔炎として治療されていたが,治療抵抗性であり次第に眼球突出を認めたため当科紹介となった。内視鏡検査では鼻粘膜の腫脹を認めるのみであったが,画像所見...

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Published in小児耳鼻咽喉科 Vol. 42; no. 3; pp. 336 - 341
Main Authors 富里, 周太, 守本, 倫子, 大隅, 朋生, 奥羽, 譲, 加藤, 元博, 高橋, 希, 小宅, 功一郎, 富澤, 大輔, 坂本, 謙一, 山口, 宗太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2021
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.42.336

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Summary:骨髄肉腫(MS)は,髄外に腫瘤を形成する骨髄性悪性疾患である。腫瘤はあらゆる部位に発生するが,鼻副鼻腔に形成することは比較的稀である。鼻副鼻腔に腫瘤を形成したMSは,臨床症状や内視鏡所見のみでは非悪性疾患(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)と類似しているため,診断が遅れてしまう事がある。診断の遅れは,腫瘤形成に伴う臓器障害のリスクがあるため,早期の診断が重要である。今回我々は,鼻副鼻腔に腫瘤を形成した小児MSの1例を経験した。症例は5歳の男児,近医で鼻副鼻腔炎として治療されていたが,治療抵抗性であり次第に眼球突出を認めたため当科紹介となった。内視鏡検査では鼻粘膜の腫脹を認めるのみであったが,画像所見から早期より悪性疾患を疑い,血液腫瘍科医と連携をとりつつ組織生検を行った。採取した検体を適切に処理し診断を進めることで,MSと診断し得た症例を経験したので,文献的な考察を加えて報告する。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.42.336