小児の鼻腔に発生した類上皮血管腫の1例

類上皮血管腫は紅色丘疹や結節が若年成人ないし中年女性の頭頸部の皮下に好発するが,小児の鼻腔に発生することは極めて稀である。今回,鼻出血を契機に発見された小児鼻腔類上皮血管腫の1例を経験した。症例は5歳,男児で左鼻腔内の中鼻甲介下端に大きさ15 mmの暗赤色易出血性腫瘍を認めた。全身麻酔下に鼻内内視鏡を用いて鼻腔腫瘍摘出手術を施行した。病理組織所見で,類上皮様に腫大した血管内皮細胞が増殖し血管腔様の構造をとり内部に多数の赤血球を認めた。免疫組織学的染色で腫瘍細胞に血管内皮マーカー(CD34)陽性が確認され,類上皮血管腫の診断となった。治療は手術による完全切除であるが再発例も多く報告されていること...

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Published in小児耳鼻咽喉科 Vol. 42; no. 3; pp. 369 - 374
Main Authors 荒井, 真木, 杉山, 夏樹, 加藤, 照幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2021
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.42.369

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Summary:類上皮血管腫は紅色丘疹や結節が若年成人ないし中年女性の頭頸部の皮下に好発するが,小児の鼻腔に発生することは極めて稀である。今回,鼻出血を契機に発見された小児鼻腔類上皮血管腫の1例を経験した。症例は5歳,男児で左鼻腔内の中鼻甲介下端に大きさ15 mmの暗赤色易出血性腫瘍を認めた。全身麻酔下に鼻内内視鏡を用いて鼻腔腫瘍摘出手術を施行した。病理組織所見で,類上皮様に腫大した血管内皮細胞が増殖し血管腔様の構造をとり内部に多数の赤血球を認めた。免疫組織学的染色で腫瘍細胞に血管内皮マーカー(CD34)陽性が確認され,類上皮血管腫の診断となった。治療は手術による完全切除であるが再発例も多く報告されていることから術後の定期的経過観察が重要である。術後2年経過し現在のところ再発は認めていない。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.42.369