内視鏡下鼻内手術を必要とした小児両側鼻性眼窩内合併症の1例

小児鼻性眼窩内合併症は,抗菌薬治療が奏功し外科的治療を要することは少ない。また,眼窩病変は片側性であることが多く両側性であることは稀である。今回われわれは,保存的加療に抵抗し内視鏡下鼻内手術を必要とした,両側鼻性眼窩内合併症を経験した。症例は12歳,男児。3日前から頭痛,40℃の発熱,両側眼瞼腫脹,左眼の視力低下を生じ,近医内科で眼窩周囲蜂窩織炎と診断され当院紹介入院となった。CT,MRIで左眼窩骨膜下膿瘍,右眼窩蜂窩織炎を認め,視力は右0.9,左0.6であった。鼻性眼窩内合併症に対し,スルバクタム/アンピシリン点滴するも効果なく眼瞼腫脹は悪化し,入院翌日に両側内視鏡下鼻内手術を施行し膿瘍をド...

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Published in小児耳鼻咽喉科 Vol. 42; no. 3; pp. 361 - 368
Main Authors 荒井, 真木, 杉山, 夏樹, 加藤, 照幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2021
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.42.361

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Summary:小児鼻性眼窩内合併症は,抗菌薬治療が奏功し外科的治療を要することは少ない。また,眼窩病変は片側性であることが多く両側性であることは稀である。今回われわれは,保存的加療に抵抗し内視鏡下鼻内手術を必要とした,両側鼻性眼窩内合併症を経験した。症例は12歳,男児。3日前から頭痛,40℃の発熱,両側眼瞼腫脹,左眼の視力低下を生じ,近医内科で眼窩周囲蜂窩織炎と診断され当院紹介入院となった。CT,MRIで左眼窩骨膜下膿瘍,右眼窩蜂窩織炎を認め,視力は右0.9,左0.6であった。鼻性眼窩内合併症に対し,スルバクタム/アンピシリン点滴するも効果なく眼瞼腫脹は悪化し,入院翌日に両側内視鏡下鼻内手術を施行し膿瘍をドレナージした。術後経過は良好で眼瞼腫脹は消失,視力は両目1.5に回復した。本症例は,両側病変であり外科的治療を必要とした稀な症例であった。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.42.361