骨髄異形成症候群による貧血・血小板減少に十全大補湯加膠飴が奏効した1例

症例は76歳女性。骨髄異形成症候群の1病型である不応性貧血(refractory anemia:RA)と診断されビタミンK2製剤の投与を受けていたが,汎血球減少が進行するため当科を受診。初診時,白血球数2150/μL,ヘモグロビン値9.6g/dL,血小板数2.3万/μLであった。気血両虚を目標として十全大補湯を投与し,四物湯の各成分を3gから5gまで増量,さらに黄耆建中湯合四物湯に転方したが貧血は改善しなかった。その後再び十全大補湯に転方し,四物湯の各成分を6gに増量,さらに膠飴10gを加味した。その結果,ヘモグロビン値,血小板数は著明に増加した。治療前後での骨髄所見には大きな変化が認められな...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 62; no. 3; pp. 363 - 368
Main Authors 迎, はる, 白土, 基明, 林, 純, 村田, 昌之, 海野, 麻美, 古庄, 憲浩, 貝沼, 茂三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2011
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.62.363

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Summary:症例は76歳女性。骨髄異形成症候群の1病型である不応性貧血(refractory anemia:RA)と診断されビタミンK2製剤の投与を受けていたが,汎血球減少が進行するため当科を受診。初診時,白血球数2150/μL,ヘモグロビン値9.6g/dL,血小板数2.3万/μLであった。気血両虚を目標として十全大補湯を投与し,四物湯の各成分を3gから5gまで増量,さらに黄耆建中湯合四物湯に転方したが貧血は改善しなかった。その後再び十全大補湯に転方し,四物湯の各成分を6gに増量,さらに膠飴10gを加味した。その結果,ヘモグロビン値,血小板数は著明に増加した。治療前後での骨髄所見には大きな変化が認められなかったが,膠飴を加えることにより十全大補湯の造血作用が増強される可能性が示唆された。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.62.363