Mini-Mental State Examinationにより評価した認知機能低下と将来の要介護発生との関連
目的:本研究は,認知機能低下を定義する上で妥当なMini-Mental State Examination得点の変化量を明らかにすることを目的として,要介護認定情報による新規要介護認定発生との関連性を縦断的に調べた.方法:65歳以上の地域在宅高齢者を対象とした介護予防健診データ及び要介護認定情報を用いた.解析対象者773名について,ベースライン調査(2002年から2007年)からWave-1(2003年から2008年)までの間でのMMSE得点の年平均変化量を説明変数,Wave-1からWave-2(Wave-1から2013年)までの新規重度要介護認定(要介護2以上)発生の期間を目的変数としたCo...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 86 - 93 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.01.2015
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.52.86 |
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Summary: | 目的:本研究は,認知機能低下を定義する上で妥当なMini-Mental State Examination得点の変化量を明らかにすることを目的として,要介護認定情報による新規要介護認定発生との関連性を縦断的に調べた.方法:65歳以上の地域在宅高齢者を対象とした介護予防健診データ及び要介護認定情報を用いた.解析対象者773名について,ベースライン調査(2002年から2007年)からWave-1(2003年から2008年)までの間でのMMSE得点の年平均変化量を説明変数,Wave-1からWave-2(Wave-1から2013年)までの新規重度要介護認定(要介護2以上)発生の期間を目的変数としたCox比例ハザードモデルにより解析した.結果:ベースライン調査からWave-1まで(平均追跡期間1,195±675日)のMMSE得点の年平均変化量を5分類したところ,0点以上が511名(66.1%),0点から-0.5点が94名(12.2%),-0.5点以下から-1点が66名(8.5%),-1点以下から-2点が56名(7.2%),-2点以下が46名(6.0%)であった.Wave-1からWave-2まで(平均追跡期間1,802±723日)の新規重度要介護認定発生有りは104名(13.5%)であった.MMSE得点の年平均変化量0点以上に対する0点から-0.5点,-0.5点以下から-1点,-1点以下から-2点,-2点以下の新規重度要介護認定発生ハザード比は,多変量調整後でそれぞれ1.73(0.93~3.23),1.94(1.01~3.45),1.95(1.02~3.76),3.16(1.68~5.98)であった.結論:認知機能低下の定義には,MMSE得点の年平均変化量が0.5点以上の低下を用いることが妥当であることが示唆された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.52.86 |