V.痔核術後の排便機能障害

痔核に対する手術として本邦で行われている術式は,硬化療法,ゴム輪結紮術,PPH,結紮切除術などが挙げられる.それぞれ術後疼痛,治癒期間,合併症発生率,再発率が全く異なるため,重症度や患者の希望,自施設の環境や術者の技量に基づいて治療方法を選択する必要がある.痔核術後の排便機能障害としては,Whitehead anusが知られている.肛門上皮を全周性に切除されることに伴う狭窄や全周性粘膜脱を呈している病態である.現在は可及的に肛門上皮を温存する結紮切除術が主流になっているが,この術式であっても肛門上皮の温存がうまくいかないことや,痔核切除術の際に内肛門括約筋や外肛門括約筋皮下部を損傷することで狭...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 521 - 528
Main Authors 野明, 俊裕, 荒木, 靖三, 的野, 敬子, 小篠, 洋之, 入江, 朋子, 河野, 由紀子, 家守, 雅大, 石見, 雅人, 石見, 拓人, 高野, 正博, 赤木, 由人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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Summary:痔核に対する手術として本邦で行われている術式は,硬化療法,ゴム輪結紮術,PPH,結紮切除術などが挙げられる.それぞれ術後疼痛,治癒期間,合併症発生率,再発率が全く異なるため,重症度や患者の希望,自施設の環境や術者の技量に基づいて治療方法を選択する必要がある.痔核術後の排便機能障害としては,Whitehead anusが知られている.肛門上皮を全周性に切除されることに伴う狭窄や全周性粘膜脱を呈している病態である.現在は可及的に肛門上皮を温存する結紮切除術が主流になっているが,この術式であっても肛門上皮の温存がうまくいかないことや,痔核切除術の際に内肛門括約筋や外肛門括約筋皮下部を損傷することで狭窄や粘膜脱,便失禁をきたす症例が存在する.本稿では,代表的な痔核術後の排便機能障害を提示するとともに,当院での経験症例数と術後の肛門機能との関連性の有無について検討する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.521