II.大腸癌肝転移に対する周術期化学療法

大腸癌肝転移に対する唯一の根治的治療法は外科的切除である.しかし切除術後の再発率は高く,5年生存率は切除可能肝転移に対して行った肝切除術では約50%であった.化学療法前は切除不能肝転移症例であったが,化学療法が奏効したため切除可能となった,いわゆるconversion切除症例では約30%であり,他癌のstage IVや再発癌と比較すると良好な成績ではあるが,決して満足すべきではない.一方,近年の新規抗癌剤の開発により切除不能大腸癌の生存期間は急速に延長しており,肝切除術後の生存率向上のため化学療法が併用されている. 本稿では,大腸癌肝転移に対する肝切除術の前後に行う周術期化学療法について,過去...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 877 - 887
Main Author 加藤, 健志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2014
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.67.877

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Summary:大腸癌肝転移に対する唯一の根治的治療法は外科的切除である.しかし切除術後の再発率は高く,5年生存率は切除可能肝転移に対して行った肝切除術では約50%であった.化学療法前は切除不能肝転移症例であったが,化学療法が奏効したため切除可能となった,いわゆるconversion切除症例では約30%であり,他癌のstage IVや再発癌と比較すると良好な成績ではあるが,決して満足すべきではない.一方,近年の新規抗癌剤の開発により切除不能大腸癌の生存期間は急速に延長しており,肝切除術後の生存率向上のため化学療法が併用されている. 本稿では,大腸癌肝転移に対する肝切除術の前後に行う周術期化学療法について,過去に報告された第3相試験の結果とガイドラインを中心に述べる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.67.877