VII.本邦における裂肛術後の機能障害
慢性裂肛に対する一般的な術式は,用手拡張術(AD),側方内括約筋切開術(LSIS),皮弁移動術(SSGなど)である.ADは内括約筋の鈍的拡張術,LSISは側方での鋭的切開術,皮弁移動術は後方での鋭的切開術である.術式別に本邦の術成績をレビューし,失禁,再発の頻度から今後の展望について述べたい.手術成績の明らかな論文はAD,LSIS,皮弁移動術の順に3本,4本,8本であった.評価方法はアンケート調査または観察研究であった.失禁率は(AD,LSIS,皮弁移動術の順に)0.6%,0.5-17.1%,0-22.2%であった.再発率は6.1-18.1%,2.1-24.1%,0-8.2%であった.括約筋機...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 540 - 548 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.69.540 |
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Summary: | 慢性裂肛に対する一般的な術式は,用手拡張術(AD),側方内括約筋切開術(LSIS),皮弁移動術(SSGなど)である.ADは内括約筋の鈍的拡張術,LSISは側方での鋭的切開術,皮弁移動術は後方での鋭的切開術である.術式別に本邦の術成績をレビューし,失禁,再発の頻度から今後の展望について述べたい.手術成績の明らかな論文はAD,LSIS,皮弁移動術の順に3本,4本,8本であった.評価方法はアンケート調査または観察研究であった.失禁率は(AD,LSIS,皮弁移動術の順に)0.6%,0.5-17.1%,0-22.2%であった.再発率は6.1-18.1%,2.1-24.1%,0-8.2%であった.括約筋機能障害の観点から,海外では否定的なADの本邦での治療成績は悪くなかった.本邦においても,手術対象症例に対する前向きの比較研究,エビデンスのある評価方法での研究結果が期待される. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.69.540 |