内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)

内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)における切開方向は11時から12時の間とする. 出力波形は原則的に切開波を選択する. 通電は断続的に行い, 切開線周囲の凝固層の幅をコントロールしながら切開するイメージを持つ. ハチマキ襞付近までは膵管口へのダメージの防止を優先し, 凝固層の範囲を最小限にとどめる. このためには, 比較的迅速な切開が必要である.ハチマキ襞より口側への切開では径の太い動脈枝の存在する可能性に配慮し, 十分な幅の凝固層を形成させつつゆっくりと切開する.切開の過程で最も注意すべきなのは「メスが走る」事態である.「メスが走る」のを避けるには, いつでも切開線の伸張を止められる...

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Published in胆道 Vol. 19; no. 4; pp. 448 - 457
Main Authors 猪股, 正秋, 照井, 虎彦, 遠藤, 昌樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2005
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.19.4_448

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Summary:内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)における切開方向は11時から12時の間とする. 出力波形は原則的に切開波を選択する. 通電は断続的に行い, 切開線周囲の凝固層の幅をコントロールしながら切開するイメージを持つ. ハチマキ襞付近までは膵管口へのダメージの防止を優先し, 凝固層の範囲を最小限にとどめる. このためには, 比較的迅速な切開が必要である.ハチマキ襞より口側への切開では径の太い動脈枝の存在する可能性に配慮し, 十分な幅の凝固層を形成させつつゆっくりと切開する.切開の過程で最も注意すべきなのは「メスが走る」事態である.「メスが走る」のを避けるには, いつでも切開線の伸張を止められる態勢を整えておくことに加え, 切開が通電開始後可及的すみやかに始まることが重要である.切開線の伸張をいつでも止められるようにするには, 必要以上のブレードの張りや過度の押しつけは禁忌である.さらに, 連続的な通電・切開は行わないことが大切である.切開が通電開始後すみやかに始まるようにするには, (1)漏電を回避すること, (2)ブレードと組織の接触面積を極力小さくすること, (3)「Counter traction」を意識的に活用することの3点を意識することがポイントとなる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.19.4_448