V.直腸癌に対する術前放射線治療 短期照射のup-to-date

下部直腸癌に対する術前放射線治療として欧州で用いられてきた短期照射は切除可能症例に対して局所制御を改善させることが明らかにされているが,米国を中心に用いられてきた大線量(45-50.4Gy)長期照射+化学療法も局所制御に有用であり,両者を比較検討した臨床試験が行われた.それらによると治療コンプライアンス,経済性については短期照射が優れているが,局所制御率,全生存率,括約筋温存率には差を認めなかった.短期照射はその良好な治療コンプライアンスにより強力な化学療法と組み合わせることが可能であり,pCR率をさらに向上させることで生命予後改善につながることが期待されている.現在のNCCNのガイドラインで...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 10; pp. 424 - 432
Main Authors 相原, 司, 上紺屋, 憲彦, 別府, 直仁, 栁, 秀憲, 一瀬, 規子, 岡本, 亮, 中島, 隆善, 仲本, 嘉彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2020
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.73.424

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Summary:下部直腸癌に対する術前放射線治療として欧州で用いられてきた短期照射は切除可能症例に対して局所制御を改善させることが明らかにされているが,米国を中心に用いられてきた大線量(45-50.4Gy)長期照射+化学療法も局所制御に有用であり,両者を比較検討した臨床試験が行われた.それらによると治療コンプライアンス,経済性については短期照射が優れているが,局所制御率,全生存率,括約筋温存率には差を認めなかった.短期照射はその良好な治療コンプライアンスにより強力な化学療法と組み合わせることが可能であり,pCR率をさらに向上させることで生命予後改善につながることが期待されている.現在のNCCNのガイドラインではCRM陰性症例には短期長期のいずれの照射でも良く,CRMを考慮すべき症例,切除不能症例に対しては強力な全身化学療法を併用した短期照射あるいは長期照射を用いることが推奨されている.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.73.424