III.超音波内視鏡─3D-EUSを含めて

大腸癌に対する超音波内視鏡(EUS)の臨床的意義は,術前に癌深達度やリンパ節転移を評価し,適切な治療法を選択することにある.EUSにより,腫瘍を垂直断層像として描出できるため,客観的な診断が可能である.とくに早期癌に対しては,内視鏡的摘除の適応病変(pTis癌~pT1a癌)と外科手術の適応病変(pT1b癌)の鑑別診断正診率は,自施設の検討では89%と高率であり,EUSは早期癌の治療法の選択に活用できると考える.しかしEUS診断には,描出困難病変が多いなどの問題点があり,早期癌での検討では全体の13%を占めた.描出困難病変への対策として,3次元超音波内視鏡(3D-EUS)の使用が有効な場合がある...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 463 - 470
Main Authors 小林, 清典, 小泉, 和三郎, 横山, 薫, 佐田, 美和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.463

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Summary:大腸癌に対する超音波内視鏡(EUS)の臨床的意義は,術前に癌深達度やリンパ節転移を評価し,適切な治療法を選択することにある.EUSにより,腫瘍を垂直断層像として描出できるため,客観的な診断が可能である.とくに早期癌に対しては,内視鏡的摘除の適応病変(pTis癌~pT1a癌)と外科手術の適応病変(pT1b癌)の鑑別診断正診率は,自施設の検討では89%と高率であり,EUSは早期癌の治療法の選択に活用できると考える.しかしEUS診断には,描出困難病変が多いなどの問題点があり,早期癌での検討では全体の13%を占めた.描出困難病変への対策として,3次元超音波内視鏡(3D-EUS)の使用が有効な場合がある.描出困難病変の頻度は,3D-EUSは従来機種より低率であり,リニア表示で描出可能になる病変を認めている.大腸癌に対するEUSの診断精度の向上には,大腸用専用機などEUS機種の改良が必要であると考える.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.463