ヒトパルボウイルスB19の供血者スクリーニング

ヒトパルボウイルスB19(以下B19ウイルス)は1972年Courouceら1)によりAurillac抗原として初めて認識され, ウイルス粒子としては, 1975年Cossartら2)により“Parvovirus-like particles in human sera”として発見された. 小児における伝染性紅斑, 慢性溶血性貧血患者における急性赤芽球癆, 経胎盤感染における胎児水腫の病因ウイルスで, 通常は急性感染症の経過を辿るが免疫不全状態にある患者に感染した場合は持続感染に至り, 慢性貧血又は骨髄不全を来たす. 水平感染の経路は主に, 飛沫感染で, 経気道感染することが実験的に確かめられ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 352 - 355
Main Authors 前田, 義章, 佐藤, 博行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1998
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.44.352

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Summary:ヒトパルボウイルスB19(以下B19ウイルス)は1972年Courouceら1)によりAurillac抗原として初めて認識され, ウイルス粒子としては, 1975年Cossartら2)により“Parvovirus-like particles in human sera”として発見された. 小児における伝染性紅斑, 慢性溶血性貧血患者における急性赤芽球癆, 経胎盤感染における胎児水腫の病因ウイルスで, 通常は急性感染症の経過を辿るが免疫不全状態にある患者に感染した場合は持続感染に至り, 慢性貧血又は骨髄不全を来たす. 水平感染の経路は主に, 飛沫感染で, 経気道感染することが実験的に確かめられており, 学校や幼稚園等の施設内感染, 家庭内感染, 院内感染, 実験室内感染がみられ, 容易に二次感染を起こす. 更に, 医原性感染として輸血及び血漿分画製剤を介する感染がある. 感染を受けた本人は軽微な症状で終るとしても, 容易に施設内感染を起こし, 特定の基礎疾患をもった患者や妊婦に感染した場合, 重篤な状態を招くことも考えられ, 輸血用及び血漿分画製剤の原料のスクリーニングを行いウイルスの混入した血液を可能な限り排除し, ハイリスクグループに属する患者が収容されている可能性の高い医療施設にウイルスが侵入するのを未然に防ぐことが必要と考えられる.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.44.352