教育的指導によりDisposition effectは軽減するか?~模擬市場におけるRCTによる実証分析

本研究は,金融市場での損切りの重要性を教育的観点から指導する介入処置が,投資に関する典型的な行動バイアスであるdisposition effect(気質効果)に与える因果効果を実証的に検討するものである.具体的には,投資家に「ルールに従い損切りを実施するべき」という教育的指導を行い,disposition effectが軽減するかどうかを検証した.本研究の特徴として,模擬市場を用いたランダム化比較試験(RCT)を行った点に加えて,先物取引を分析対象とすることでロングポジションとショートポジションとを区別しながら処置効果を推定した点が挙げられる.分析の結果,第一に,損切りの重要性に関する教育的指...

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Published in現代ファイナンス Vol. 43; pp. 49 - 74
Main Author 安藤, 希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ファイナンス学会 MPTフォーラム 17.04.2021
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ISSN2433-4464
DOI10.24487/gendaifinance.430003

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Summary:本研究は,金融市場での損切りの重要性を教育的観点から指導する介入処置が,投資に関する典型的な行動バイアスであるdisposition effect(気質効果)に与える因果効果を実証的に検討するものである.具体的には,投資家に「ルールに従い損切りを実施するべき」という教育的指導を行い,disposition effectが軽減するかどうかを検証した.本研究の特徴として,模擬市場を用いたランダム化比較試験(RCT)を行った点に加えて,先物取引を分析対象とすることでロングポジションとショートポジションとを区別しながら処置効果を推定した点が挙げられる.分析の結果,第一に,損切りの重要性に関する教育的指導によりdisposition effectが軽減された.第二に,ショートポジションの場合に比して,ロングポジションの場合においてこの処置効果がより強く確認された.第三に,相場にトレンドがある場合においてこの処置効果がより強く確認された.
ISSN:2433-4464
DOI:10.24487/gendaifinance.430003