マイルドハイパーサーミアにおける化学療法併用時の腫瘍への薬剤取り込み

42.5℃以上の処理温度を用いたハイパーサーミアと化学療法とを併用することで抗腫瘍効果を増強できることは既に知られている. 本研究では, それ以下の処理温度であるマイルドハイパーサーミア (以下, MHT) との併用でも抗腫瘍効果の増強がみられるかを検討した. 腫瘍成長抑制効果では, 化学療法単独で使用するよりもMHTと併用した方が1.3倍腫瘍の成長を抑制し, 病理学的にも細胞損傷の増大が認められた. さらに40℃から44℃加温処理による腫瘍内の血流の変化をみてみると, MHTの温度範囲内において血流増加が確認できた. また, Cisplatin投与後にMHTを行うと腫瘍内のCisplatin...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 22; no. 1; pp. 23 - 33
Main Authors 小野, 博史, 安藤, 聡志, 鈴木, 友昭, 門前, 一, 天野, 守計, 寺井, 薫, 高橋, 徹, 長谷川, 武夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 2006
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Summary:42.5℃以上の処理温度を用いたハイパーサーミアと化学療法とを併用することで抗腫瘍効果を増強できることは既に知られている. 本研究では, それ以下の処理温度であるマイルドハイパーサーミア (以下, MHT) との併用でも抗腫瘍効果の増強がみられるかを検討した. 腫瘍成長抑制効果では, 化学療法単独で使用するよりもMHTと併用した方が1.3倍腫瘍の成長を抑制し, 病理学的にも細胞損傷の増大が認められた. さらに40℃から44℃加温処理による腫瘍内の血流の変化をみてみると, MHTの温度範囲内において血流増加が確認できた. また, Cisplatin投与後にMHTを行うと腫瘍内のCisplatin濃度が上昇した. これらより, MHTと化学療法の併用による抗腫瘍効果の増強は, 腫瘍内の血流が増加し, 抗がん剤が腫瘍内に多く取り込まれることに起因するのではないかと考えられる.
ISSN:0911-2529
1881-9516
DOI:10.3191/thermalmedicine.22.23