沖縄における地域文化的看護体験

【目的】沖縄で暮らしている患者・家族・住民とのかかわりの中で,看護職者が認識した地域文化的看護体験について分類整理し,その結果を沖縄の地域文化との関係を検討する。  【方法】看護職21名から聞き取った看護体験について,内容を示すキーワードから類似する内容を分類しカテゴリーとした。  【結果】47の看護体験が集まり【慣習に従うことで心身のバランスを保つ行動とその理解】,【“ユタ”(シャーマン)を精神的拠り所にしていることとその理解】【民間療法を受けていることへの受容と改善への教育】,【伝統料理に関する住民の認識とそれに対する理解と活用】,【死にまつわる風習とその受容】,【島に戻りたいという思いと...

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Published in文化看護学会誌 Vol. 3; no. 1; pp. 1_30 - 1_37
Main Authors 知念, 久美子, 野村, 幸子, 盛島, 幸子, 美底, 恭子, 糸数, 仁美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 文化看護学会 01.03.2011
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Summary:【目的】沖縄で暮らしている患者・家族・住民とのかかわりの中で,看護職者が認識した地域文化的看護体験について分類整理し,その結果を沖縄の地域文化との関係を検討する。  【方法】看護職21名から聞き取った看護体験について,内容を示すキーワードから類似する内容を分類しカテゴリーとした。  【結果】47の看護体験が集まり【慣習に従うことで心身のバランスを保つ行動とその理解】,【“ユタ”(シャーマン)を精神的拠り所にしていることとその理解】【民間療法を受けていることへの受容と改善への教育】,【伝統料理に関する住民の認識とそれに対する理解と活用】,【死にまつわる風習とその受容】,【島に戻りたいという思いとその尊重】,【家制度にまつわる風習とその尊重・改善】,【“ユイマール”(共に助けあって生きる行動=結い)に共感】,【住まいに応じた台風対策の工夫と協働】,【方言による仲間とのつながりとその活用】の10のカテゴリーに分類された。  【考察】この10のカテゴリーは,島嶼性つまり「海洋性」「遠隔性」「狭小性」からもたらされている。台風が吹き荒れることや海で隔離されていることで伝統が色濃く残り,狭い地で限られた資源で力を合わせ,自立に努めて生きている人々を看護職者が支えている体験であった。  看護職者は,患者や住民の地域文化的な様々な風習,行動パターン,生活様式に対して理解し共感し,また患者の精神的安定や健康への危険性を見極めて対応していた。そして地域文化的な特徴を活用していることがわかった。
ISSN:1883-8774
2433-4308
DOI:10.24658/bunkakango.3.1_1_30