骨の細胞における組織学的・微細構造学的知見

骨組織に存在する骨芽細胞はコラーゲン分泌とリン酸カルシウム結晶の沈着を行うことで石灰化骨基質合成を行う細胞である.しかし,骨芽細胞は基質合成を行うとともに,自らは骨細胞に分化して骨基質の中に埋め込まれてゆく.骨芽細胞と骨細胞は互いに細胞突起を介した細胞性ネットワークを形成し,グループとして機能すると考えられている.破骨細胞は骨吸収を行う多核巨細胞であり,波状縁から酸と基質分解酵素を分泌して骨基質を吸収している.破骨細胞は古い骨あるいは脆弱な骨を認識して吸収すると考えられており,その後,骨芽細胞が新しい骨を添加させてゆく.このように,骨は絶えず,破骨細胞により吸収され,また,骨芽細胞により新しく...

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Published in顕微鏡 Vol. 50; no. 3; pp. 191 - 196
Main Authors 網塚, 憲生, 本郷, 裕美, 坪井, 香奈子, 長谷川, 智香, 山本, 知真也, 原口, 真衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2015
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.50.3_191

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Summary:骨組織に存在する骨芽細胞はコラーゲン分泌とリン酸カルシウム結晶の沈着を行うことで石灰化骨基質合成を行う細胞である.しかし,骨芽細胞は基質合成を行うとともに,自らは骨細胞に分化して骨基質の中に埋め込まれてゆく.骨芽細胞と骨細胞は互いに細胞突起を介した細胞性ネットワークを形成し,グループとして機能すると考えられている.破骨細胞は骨吸収を行う多核巨細胞であり,波状縁から酸と基質分解酵素を分泌して骨基質を吸収している.破骨細胞は古い骨あるいは脆弱な骨を認識して吸収すると考えられており,その後,骨芽細胞が新しい骨を添加させてゆく.このように,骨は絶えず,破骨細胞により吸収され,また,骨芽細胞により新しく形成されているが,この新旧の骨基質の置換を骨リモデリング(骨改造)という.骨リモデリングは,破骨細胞と骨芽細胞系細胞との細胞学的カップリングを基盤としている.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.50.3_191