日本における糖尿病予防に取り組む人々の身体の捉え方とその文化的考察

背景:糖尿病は世界的に増加しており,糖尿病の予防が課題となっている。症状の無い糖尿病予備軍者のセルフケアの発展を支援するためには,医療者が依拠した身体だけではなく彼らが実際に捉えている身体を明らかにする必要があると考えられた。一方で身体には文化によって違いがあるとも考えられている。  目的:本研究の目的は,日本における糖尿病予防に取り組む人々の身体の捉え方を明らかにし,それらを文化的視点および看護学的立場から考察し示唆を得ることである。  方法:我々は糖尿病のリスクがある日本人男女の便宜的なサンプルを用いた。糖尿病予防教室に参加した後にグループインタビューと質問紙調査を行った。データは質的統合...

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Published in文化看護学会誌 Vol. 2; no. 1; pp. 1_11 - 1_19
Main Authors 正木, 治恵, 清水, 安子, 高橋, 良幸, 張, 平平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 文化看護学会 31.03.2010
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ISSN1883-8774
2433-4308
DOI10.24658/bunkakango.2.1_1_11

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Summary:背景:糖尿病は世界的に増加しており,糖尿病の予防が課題となっている。症状の無い糖尿病予備軍者のセルフケアの発展を支援するためには,医療者が依拠した身体だけではなく彼らが実際に捉えている身体を明らかにする必要があると考えられた。一方で身体には文化によって違いがあるとも考えられている。  目的:本研究の目的は,日本における糖尿病予防に取り組む人々の身体の捉え方を明らかにし,それらを文化的視点および看護学的立場から考察し示唆を得ることである。  方法:我々は糖尿病のリスクがある日本人男女の便宜的なサンプルを用いた。糖尿病予防教室に参加した後にグループインタビューと質問紙調査を行った。データは質的統合法(KJ法)を用いて分析した。  結果:男性2名女性8名の計10名(平均年齢62.5歳)が研究に参加した。【身体に起こる影響の理解】【引き起こされる糖尿病や障害の予想】【引き継いでいる血・健康・糖尿病】【自己の身体の理解と弱点の克服に向かう関心】【指標を用いての判断とそこから生じる意欲の揺れ動き】【生活の中で自然とつくられる身体】【不確実な身体】という身体の捉え方が明らかになった。  考察:これらの身体の捉え方は歴史的にも社会的にも様々な文化的影響を反映していると考えられた。また,看護学的立場からみると彼らの身体の捉え方には階層的構造をていることが示唆され,これらについてさらなる調査が必要と考えられた。
ISSN:1883-8774
2433-4308
DOI:10.24658/bunkakango.2.1_1_11