前立腺癌に対する内分泌治療の有効性と予後因子に関する検討
今回我々は前立腺癌患者に対する内分泌治療の意義を明確にする目的で初期治療として内分泌治療を施行した症例の長期的な臨床経過ならびに予後因子についてレトロスペクティブに検討を行った.対象は1988年から2005年までの17年間に昭和大学病院および独立行政法人国立病院機構災害医療センター泌尿器科を受診し, 病理組織学的に前立腺癌と診断され初回治療として内分泌治療を施行した692例である.一般的に予後と関連があるといわれているPSA, 臨床病期 (Clinical stage) , Gleason score別に生存率, 非再燃率について検討を行いその予後因子としての有用性について検討を行った.また,...
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Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 172 - 181 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
28.06.2007
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Subjects | |
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Summary: | 今回我々は前立腺癌患者に対する内分泌治療の意義を明確にする目的で初期治療として内分泌治療を施行した症例の長期的な臨床経過ならびに予後因子についてレトロスペクティブに検討を行った.対象は1988年から2005年までの17年間に昭和大学病院および独立行政法人国立病院機構災害医療センター泌尿器科を受診し, 病理組織学的に前立腺癌と診断され初回治療として内分泌治療を施行した692例である.一般的に予後と関連があるといわれているPSA, 臨床病期 (Clinical stage) , Gleason score別に生存率, 非再燃率について検討を行いその予後因子としての有用性について検討を行った.また, 近年新たな予後因子として注目を集めている前立腺針生検時の癌の陽性本数の比率 (% positive core) についても検討を行った.年齢は50~97歳まで分布し, 中央値76歳観察期間は10日から5812日, 中央値886日, PSAの中央値は31ng/ml (最低0.7-最高18000ng/ml) であった.全体の5年生存率は70.7%, 10年生存率は51.6%, 疾患特異的5生存率は82.9%, 疾患特異的10年生存率は68.3%, 5年非再燃率は61.9%, 10年非再燃率38.8%であった.Kaplan-Meire法では, 検討した全ての因子において, 全てまたは一部のカテゴリー間で有意差がみられた.多変量解析では臨床病期, Gleason score, 生検陽性本数の比率 (% positive core) が生存率に有意に影響を与えた因子であった.これらの結果をもとに5年疾患特異生存率の症例数をノモグラムとして作成し治療前に患者に提示できるようにした.早期前立腺癌に対する内分泌治療は十分に長期制癌が望めることが示され, 今後この情報を適切に患者に知らせる必要があると考えられた.また, 前立腺針生検時の癌の陽性本数の比率 (% positive core) が前立腺癌の内分泌治療後の独立した予後因子であることも示された. |
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ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
DOI: | 10.14930/jsma1939.67.172 |