他者との運動実践が高齢者の運動継続に及ぼす影響とその心理的メカニズムの検証

【はじめに、目的】 これまでの研究によれば、他者と一緒に運動を実践すること ( 他者との運動実践)は、一人で運動を実践するよりも、高齢者の健康指標へ好影響がある。しかし、我々の先行研究では、一部の基本属性によって影響の強さは異なる可能性があるものの、他者との運動実践が高齢者の運動継続へ好影響を及ぼすことは支持されていない。また、この影響への理解を深めるには、この影響の心理的メカニズムの検証が必要である。本研究では、他者との運動実践が運動継続に及ぼす影響と基本属性との交互作用効果について、我々の先行研究の結果が再現されるのかと (目的1)、他者との運動実践は、心理的要因 (運動ソーシャルサポート...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 200
Main Authors 太田, 幸志, 原田, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
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Summary:【はじめに、目的】 これまでの研究によれば、他者と一緒に運動を実践すること ( 他者との運動実践)は、一人で運動を実践するよりも、高齢者の健康指標へ好影響がある。しかし、我々の先行研究では、一部の基本属性によって影響の強さは異なる可能性があるものの、他者との運動実践が高齢者の運動継続へ好影響を及ぼすことは支持されていない。また、この影響への理解を深めるには、この影響の心理的メカニズムの検証が必要である。本研究では、他者との運動実践が運動継続に及ぼす影響と基本属性との交互作用効果について、我々の先行研究の結果が再現されるのかと (目的1)、他者との運動実践は、心理的要因 (運動ソーシャルサポート、態度、自己調整、セルフエフィカシー)を媒介して間接的に運動継続に影響を及ぼすのかを検証した (目的2)。 【方法】 社会調査会社の65~74歳の登録モニタへweb調査 (事前、1年 後)を行い、事前調査で運動を行っており、かつ1年後調査に有効回答した274名を分析対象とした。運動継続を事前から1年後調査にかけての運動時間の変化量と、運動時間の増加の有無の2つの観点から捉え分析した。目的1に関しては、運動継続を従属変数、事前調査での他者との運動実践の有無、基本属性を独立変数としたモデル (モデル1)と、モデル1に加え他者との運動実践の有無と基本属性との交互作用項を投入したモデル (モデル2)を、重回帰・ロジスティック回帰分析で検証した。また、目的2に関しては、他者との運動実践から心理的要因と運動継続へのパスと、心理的要因から運動継続へのパスを設定したパス解析で検証した。 【結果】 両回帰分析のモデル1では、事前調査で他者と運動実践していた者の方が、1年後の運動継続状況が良好であった。しかし、モデル2では、他者との運動実践の有無といずれの交互作用項も運動継続へ有意に影響していなかった。パス解析では、他者との運動実践は、運動継続とは直接的に関連していたが、心理的要因の変化とは有意に直接的に関連していなかった。 【結論】 基本属性によらず他者との運動実践が運動継続に好影響を及ぼすことが示され、先行研究の結果が再現されなかった。そのため、他者との運動実践が運動継続に及ぼす影響は一定でないことが考えられる。また、他者との運動実践と運動継続を媒介する心理的要因は同定されず、心理的メカニズムは明らかにならなかった。 【倫理的配慮】 本研究は、神戸大学大学院人間発達環境学研究科内に設置された研究倫理審査委員会 (承認番号:483-2)の承認を得た上で、ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い実施した。参加者には、web調査画面の冒頭で、本調査の説明文を提示し、熟読の上協力の同意が得られる場合は、次ページへ進むボタンを選択するよう教示した。
Bibliography:YO-09-6
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_200