再燃を繰り返す神経サルコイドーシスに対して柴苓湯が有効であった1例

限局性神経サルコイドーシスは中枢神経に限局した比較的まれな疾患で,治療抵抗性を示すことが多い。今回我々は,再燃を繰り返す神経サルコイドーシスに柴苓湯が有効であった症例を経験したので,報告する。症例は20歳代男性。閃輝暗点で発症した右後頭葉の神経サルコイドーシスの患者である。病理学的に確定診断後,デキサメタゾン4mg 内服を開始した。造影病変と脳浮腫は縮小したがデキサメタゾンを減量すると再燃するため,デキサメタゾン2mg 内服を1年間継続した。長期投与になりステロイドによる副作用も出現していたため,漢方治療を検討した。柴苓湯9g/ 日を開始し,投与13ヵ月後には造影病変並びに周囲脳浮腫の消失を認...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 309 - 313
Main Authors 齋藤, 紀彦, 平井, 希, 高萩, 周作, 八木橋, 彰憲, 岩渕, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2024
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Summary:限局性神経サルコイドーシスは中枢神経に限局した比較的まれな疾患で,治療抵抗性を示すことが多い。今回我々は,再燃を繰り返す神経サルコイドーシスに柴苓湯が有効であった症例を経験したので,報告する。症例は20歳代男性。閃輝暗点で発症した右後頭葉の神経サルコイドーシスの患者である。病理学的に確定診断後,デキサメタゾン4mg 内服を開始した。造影病変と脳浮腫は縮小したがデキサメタゾンを減量すると再燃するため,デキサメタゾン2mg 内服を1年間継続した。長期投与になりステロイドによる副作用も出現していたため,漢方治療を検討した。柴苓湯9g/ 日を開始し,投与13ヵ月後には造影病変並びに周囲脳浮腫の消失を認めた。柴苓湯はサイトカイン抑制作用も報告されており,ステロイド抵抗性を示すことの多い限局性神経サルコイドーシスにおいて,副作用が少なく長期投与が可能な柴苓湯は検討しうる治療法の一つであると考える。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.75.309