上行結腸軸捻転に対して回盲部切除を行った1例

症例は69歳男性.右下腹部痛を主訴に当院を受診し,腹部単純レントゲンにて鏡面像を伴う大腸ガス像,腹部CTで上行結腸の捻転を認めたため,上行結腸軸捻転を疑い緊急手術を施行した.上行結腸の長軸方向に捻転し,かつ頭側へ反転していたが,腸管壁の虚血性変化は認めなかった.回盲部切除後に,機能的端々吻合して手術を終了した.術後8日から経口摂取を開始し,術後14日に経過良好で退院した.術後2ヵ月経過したが,再発は認めていない.上行結腸軸捻転は内視鏡的な整復術や盲腸固定術などの非侵襲的な治療では再発するリスクがあり,腸管壊死の有無に関わらず,捻転腸管の切除を行うことを念頭に治療を進める必要がある.上行結腸軸捻...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 石岡, 秀基, 塩井, 義裕, 伊藤, 浩平, 佐々木, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 2022
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.74.1_31

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Summary:症例は69歳男性.右下腹部痛を主訴に当院を受診し,腹部単純レントゲンにて鏡面像を伴う大腸ガス像,腹部CTで上行結腸の捻転を認めたため,上行結腸軸捻転を疑い緊急手術を施行した.上行結腸の長軸方向に捻転し,かつ頭側へ反転していたが,腸管壁の虚血性変化は認めなかった.回盲部切除後に,機能的端々吻合して手術を終了した.術後8日から経口摂取を開始し,術後14日に経過良好で退院した.術後2ヵ月経過したが,再発は認めていない.上行結腸軸捻転は内視鏡的な整復術や盲腸固定術などの非侵襲的な治療では再発するリスクがあり,腸管壊死の有無に関わらず,捻転腸管の切除を行うことを念頭に治療を進める必要がある.上行結腸軸捻転は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.74.1_31