局所麻酔下胸腔鏡肉眼所見と胸膜癒着療法成否との関連性に関する検討
局所麻酔下胸腔鏡検査は胸水貯留疾患の診断において有用である.その胸腔内肉眼所見については癌性, 結核性, 悪性胸膜中皮腫において特徴的な像を呈する.癌性胸膜炎患者において, 局所麻酔下胸腔鏡の胸腔内肉眼所見と胸膜癒着術の成否における関連性について検討する.19名の癌性胸膜炎患者 (男性12名, 女性7名, 平均年齢72.6歳, 肺癌16名, 胃癌2名, 大腸癌1名) を対象とした.胸腔内肉眼所見分類として以下のものを用いた.A-1: 大結節が臓側または壁側胸膜に多発, A-2: 大結節が両側胸膜に多発, B: 小結節が両側胸膜に多発.また胸膜癒着術後4週目に胸水の消失または変化がない場合を癒着...
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Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 488 - 493 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
28.12.2005
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Subjects | |
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ISSN | 0037-4342 2185-0976 |
DOI | 10.14930/jsma1939.65.488 |
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Summary: | 局所麻酔下胸腔鏡検査は胸水貯留疾患の診断において有用である.その胸腔内肉眼所見については癌性, 結核性, 悪性胸膜中皮腫において特徴的な像を呈する.癌性胸膜炎患者において, 局所麻酔下胸腔鏡の胸腔内肉眼所見と胸膜癒着術の成否における関連性について検討する.19名の癌性胸膜炎患者 (男性12名, 女性7名, 平均年齢72.6歳, 肺癌16名, 胃癌2名, 大腸癌1名) を対象とした.胸腔内肉眼所見分類として以下のものを用いた.A-1: 大結節が臓側または壁側胸膜に多発, A-2: 大結節が両側胸膜に多発, B: 小結節が両側胸膜に多発.また胸膜癒着術後4週目に胸水の消失または変化がない場合を癒着術成功, 胸水の増加を認めた場合を癒着術失敗と判定した.胸膜癒着術の成功率はA-1では4/6 (66.7%) , A-2では5/7 (71.4%) , Bでは1/4 (25%) であった.胸膜癒着術の成否と局所麻酔下胸腔鏡による胸腔内肉眼所見との関連性について検討すると, 胸膜面にびまん性に小結節を認める場合に不成功例が多かった.このような検討は初めてであり, 今後更なる症例を積み重ねての検討が必要と思われる. |
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ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
DOI: | 10.14930/jsma1939.65.488 |