甲状腺未分化癌の治療経験からみた臨床試験の重要性

甲状腺未分化癌は,きわめて悪性度の高い疾患で,病状の急速な悪化により多くは診断後半年以内に不幸な転帰をとる。標準的治療法はなく探索的な集学的治療が行われているが,これまで科学的なエビデンスはない。最近タキサン系の抗癌剤を用いた治療法の有効性を示す報告が散見されており,われわれの施設では頭頸部癌に使用されている化学(放射線)療法を参考として治療している。一部の症例では集学的治療の局所コントロールに対する有用性が示唆されたものの,化学療法単独での効果は確認できなかった。現在,全国規模の医師主導多施設共同研究が行われている(UMIN ID 000008574)が,稀少な難治性の甲状腺未分化癌治療を発...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 30; no. 3; pp. 212 - 215
Main Authors 小野田, 尚佳, 中村, 雅憲, 野田, 諭, 平川, 弘聖, 柏木, 伸一郎, 高島, 勉, 川尻, 成美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.30.3_212

Cover

More Information
Summary:甲状腺未分化癌は,きわめて悪性度の高い疾患で,病状の急速な悪化により多くは診断後半年以内に不幸な転帰をとる。標準的治療法はなく探索的な集学的治療が行われているが,これまで科学的なエビデンスはない。最近タキサン系の抗癌剤を用いた治療法の有効性を示す報告が散見されており,われわれの施設では頭頸部癌に使用されている化学(放射線)療法を参考として治療している。一部の症例では集学的治療の局所コントロールに対する有用性が示唆されたものの,化学療法単独での効果は確認できなかった。現在,全国規模の医師主導多施設共同研究が行われている(UMIN ID 000008574)が,稀少な難治性の甲状腺未分化癌治療を発展させるためには,このプロジェクトのように各施設が連携し集学的治療,臨床試験,緩和医療を適切に提供するための準備が重要であると考えられた。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.30.3_212